歯科衛生士の就職・転職先は、友達の紹介経由で大丈夫?

メリットとデメリットを徹底考察

歯科衛生士の就職・転職は、友人の紹介経由であることが少なくありません。しかし、友人から紹介され、友人と一緒の職場で働くことにはメリットもデメリットもあります。
この記事では、歯科衛生士が友達の紹介経由で就職・転職し、友人と同じ職場で働くことのメリットとデメリットを考察します。また、近年広まっているリファラル採用という仕組みについても紹介します。是非とも、就職・転職活動の参考にしてみてください。

友達と同じ職場で働くメリット

歯科医院の情報を詳細に知れる
 歯科医院に友人がいれば、就職・転職の前に生の情報を収集することが出来ます。通常、求人票などで記載されている歯科医院の情報だけでは、欲しい情報が手に入らない部分が多々あります。例えば、実際の忙しさ・患者さんの層・残業の有無・ボーナスなどの福利厚生・スタッフの人間関係・院長の人柄…等が挙げられます。これらは、客観的に確認出来るものもあれば、実際に働いていないと分からない部分もあります。そのため、友人からの紹介であれば積極的に情報収集するようにしましょう。このときに注意したいのは、友人の情報だけを鵜呑みにしないことです。やはり一人の視点だけでは、事実と異なることが良くも悪くもあります。必ず、院長や患者さんなど多方面からも情報収集するようにしましょう。
院長やスタッフに信頼感を与えられる
 あなたの職場に友人を招き入れることを想像してみてください…職場に迷惑がかからないような有能な友人を招き入れようと考えませんか?そうです、友人を紹介するということは、紹介する側は自信を持って紹介するものなのです。そして、紹介された歯科医院の院長やスタッフは「〇〇さんの紹介だから、きっと良い人が来てくれる」と考え、就職・転職する前から信頼を寄せることになります。通常では、就職・転職はゼロから人間関係を構築していかなければならず、しばらくの間は評価期間のように少ししんどい日々が続きます。しかし、紹介では一気に信頼感を与えている状態になり、余計なストレスを感じずにすみます。
不採用になりにくい
 友人からの紹介で就職・転職しているとき、友人からの情報によって採用か不採用かはほとんど決定しているようなものです。歯科医院の院長からすれば「信頼できる〇〇さんが言うならば、絶対に大丈夫だろう」となるために、当然でしょう。もし、紹介によって不採用になるのは、条件が合わない場合のみでしょう。例えば、常勤を募集しているが週一回の勤務しか出来ない場合や、夜のみパート・アルバイトを募集しているのに日中しか勤務できない場合などです。そのため、採用にかかる条件については事前確認できるものがほとんどであるため、必ず確認するようにしましょう。
あなたの働き方を事前に伝えることができる
 通常は履歴書や面接によってのみ、あなたの職歴や専門領域・業務経験などを伝えることが出来ます。しかし、友人からの紹介では、履歴書や面接以上に多くの情報を事前に院長やスタッフに伝えることが出来ます。そのため、得意や経験のある分野を働き始めてすぐから積極的に取り組むことが出来ますし、一方で不得意や経験のない分野については学び直しながらゆっくり進めていけるように伝えることが出来ます。事前に働き方について伝えることは、実際の働きやすさに直結します。ついつい情報収集がメインになりがちですが、あなたのことを伝えることも忘れないようにしましょう。
相談できるスタッフが「すでに」いる
 歯科医院は少人数のスタッフで構成されていることが多いものです。そのため、働き始めてみると馬の合わないスタッフばかりで相談できる人がいない…なんてことが少なくありません。働いていると大なり小なり悩みは生まれるものですから、それを相談できるスタッフがいることはとても大切です。あなたが友人から紹介してもらえるということは、友人との信頼関係はしっかりと構築出来ているはずです。また、紹介した友人は「何かあったら頼ってね!」と思ってくれているはずです。このような関係性のあるスタッフが「すでに」いることは働きやすさに直結します。

友達と同じ職場で働くデメリット

内定辞退しづらい
 就職・転職に先立って、友人はあなたの情報を院長やスタッフに伝えているものです。このとき、一緒に働きたいと思ってくれているために、良い情報をたくさん伝え、あなたが働けるように後押ししてくれていることでしょう。それだけに「やっぱり別のところで働きます…」と、内定辞退は言いづらいものです。しっかりと働く意思が決まっていない時には「まだ悩んでいるんだ…」と友人に伝えておきましょう。この点を曖昧にしていると、気付いた時には働くことが決まってしまっている場合も少なくありません。特に「見学する=働くことを決めている」と受け止める院長もいて、面接しただけで採用されていることもあります。注意が必要です。
細かい条件を確認しづらい
 歯科医院では大まかな条件だけが示されており、詳細な条件を教えてもらえない場合が少なくありません。これは院長が多忙であること、細かな条件は院長が外注していること、採用担当がいないために説明者がいないことなどが理由として挙げられます。通常の就職・転職活動であれば、転職エージェントや学校と相談しながら進め、必要に応じて条件を確認してくれます。しかし、個人ではこれらについて聞きにくいものです。さらには友人がいることで聞きにくさに拍車がかかります。就職・転職するに当たってはどのような条件を確認すべきかを事前に決めておき、必ず聞くように心がけておきましょう。
プレッシャーがかかる
 あなたの情報が院長やスタッフに伝わっていることは、ときにデメリットにもなります。特に友人の紹介による就職・転職では、あなたの良い部分が事前に伝わっている可能性が非常に高いです。そのため、実際に働き始めると「これくらいは出来るだろう」という期待が込められています。ちなみに、このプレッシャーは働いてすぐには遠慮し合う関係のために気付かないものですが、しばらくしてスタッフとの人間関係が構築出来てから生じることが多いものです。働く前には期待されている可能性があることを念頭に入れておきましょう。
友人の評判に関わることになる
 プレッシャーは紹介した友人にもかかることになります。「〇〇さんが紹介するほどの友人だから、きっとしっかり仕事をしてくれるはずだ」と院長やスタッフが期待することは当然のことです。それだけに、あなたの働き方が期待を大きく裏切るようなものであったときには、友人の評判も下がってしまいます。常に「〇〇さんの友人の、××さん」という見方をされてしまうため、気を付けなければなりません。この点に関しては、業務内容よりも勤務態度に注意しましょう。挨拶をする、明るく振舞う、スタッフを気遣う…これらが大切です。
退職しづらい
 就職・転職後には、簡単に退職しづらくなってしまいます。あなたが退職することによって「〇〇さんの友達だから信頼していたのに…」「〇〇さんの紹介だから安心していたのに…」などと言われ、友達に迷惑がかかってしまう可能性があるためです。もちろん、これは友人と院長・スタッフとの関係性だけでなく、あなたと友人との関係性にも影響します。もし、退職する可能性があるのならば、その可能性が低くても、事前に伝えておく方が良いでしょう。

リファラル採用が広まっている

 友人と同じ職場で働くきっかけは様々なものがあります。そのなかでも、今回の記事のように友人の紹介で就職・転職する場合が少なくないです。このような方法は「リファラル採用」と呼ばれ、近年多くの会社で行われています。歯科衛生士として是非とも知っておいて欲しい仕組みですので、最後にこの概要やメリット・デメリットついて紹介します。主として会社側の視点ですが、知っておきましょう。
リファラル採用とは
 リファラルとは「推薦・紹介する」という意味です。社員に人材紹介してもらう採用方法で、近年は日本のあらゆる会社で広まっています。これからの日本では若い労働人口が減少していくため、有能な人材は取り合いになることが見込まれています。そこで様々なメリットを持つこの採用方法が注目されています。
リファラル採用のメリット
リファラル採用では、3つのメリットがあります。
まず、1)適切な人材を確保出来ることです。現場で働いている社員は、現場でどのような人材が求められているかをはっきりと認識しています。そのため、リファラル採用を活用することで、無駄のない採用をすることが出来るのです。もちろん、事前にどのような会社で、どのような雰囲気で、どのような業務内容かをある程度伝えておくことができるため、採用される人材にとってもメリットは大きいです。
つぎに、2)採用コストを削減出来ることがあります。通常、人材を確保するためには転職サイトや広告などを用います。ここでは多くの金銭コストや人件コストを必要とします。一方、リファラル採用で人材を確保することが出来れば基本的には採用コストはかからないため、会社にとって大きなコストカットとなります。ちなみに、リファラル採用を推進している会社では、採用を後押しした社員に対して採用ごとに一定の金銭的報酬が支払われることもあります。例えば、1人を紹介するごとに10万円以上の報酬を支払う会社も少なくありません。
さいごに、3)転職市場に出てこない層を確保出来る可能性があることです。有能な人材は転職サイトや広告経由を活用して転職活動を行いません。引き抜きや紹介によって転職することがほとんどです。リファラル採用ではこのような有能な人材にもリーチできる可能性があるのです。
リファラル採用のデメリット
 もちろん、メリットだけではありません。デメリットを2つ紹介します。
 まず、1)人間関係の配慮が必要であることです。リファラル採用は人間関係を基に採用が行われるため、人材間の人間関係を把握したうえで人員配置を行うことや、単なる仲良しグループ化にならないようにすること、友達同士が一斉に退職しないように工夫することが必要になります。これは採用時から説明を丁寧に行うなどの対策を行っておかなければなりません。
 つぎに、2)会社も人材も誠実であることです。採用後に「聞いていた情報と違う!」となることは、どちらにとっても大きな不利益を生じます。例えば、会社が聞いていた情報と異なっていた時には、採用された社員から不満が爆発することは容易に想像出来るでしょう。
歯科衛生士とリファラル採用
歯科衛生士の業界は友達経由(学校の先輩などの場合もあるでしょう)で、就職・転職することが多いものです。そのため、近年広まっているリファラル採用の考え方や仕組みが入ってくることが想定されます。就職・転職するときには、既存の転職サイトや転職エージェントだけでなく、リファラル採用を積極的に利用することも有用です。働き始めてしまえば、次はあなたがリファラル採用する立場になります。歯科医院にとってのメリット・デメリットを考えて、友達を紹介するようにしましょう。
実際、リファラル採用によって上述した報酬を得ている人も出てき始めています。歯科衛生士は有効求人倍率が高く、どこでも人材を欲している状態であると言っても過言ではありません。それゆえにリファラル採用を積極的に取り入れている歯科医院であれば、それによって年収を増やすことも可能になります。
 ちなみに、私が資格を持っている理学療法士の業界では、リファラル採用を推進している職場が少しずつ増えています。信頼出来る友人やSNSで繋がりのある友人が、やってみたいことや夢を聞き、それが実現できる職場を紹介しているのです。その結果として、紹介した人は報酬を得るだけでなく、働く理学療法士と職場が理想的な関係性を築けているケースは多いです。
転職エージェントの活用も鍵
 このように、リファラル採用はトレンドであり、歯科衛生士業界でも耳にすることが多くなると思われます。しかし、いくつもの職場の特徴などについて熟知している歯科衛生士は少ないものです。そこで、鍵になるのが転職エージェントの存在です。転職エージェントたちは転職の専門家であるため、様々な職場の実態を知っているだけでなく、それぞれの特徴などを基にあなたに合った歯科医院を紹介してくれます。リファラル採用がトレンドとは言え、半端な情報しか持っていない友人からの紹介では大きなリスクを抱えることになります。転職エージェントの利用も視野に入れておくと良いでしょう。

おわりに

 この記事では、歯科衛生士が友達の紹介経由で就職・転職し、友人と同じ職場で働くことのメリットとデメリットを徹底考察しました。今回の記事からは様々なメリットとデメリットがあることが分かりました。特に、働く前にはメリットが大きく、辞める時にはデメリットが多くあることが伝わったかと思います。歯科衛生士は転職がしやすいだけに、好条件の歯科医院が見つかれば転職したくなるものです。これらを踏まえて、友人の紹介経由を利用するようにしましょう。また、近年注目されているリファラル採用についても紹介しました。これから歯科衛生士業界にも広がってくる考え方ですので、是非とも押さえておきましょう。

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【著者:喜多 一馬】

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