歯科衛生士の産休・育休事情

歯科衛生士の仕事は続けたいけれど、出産後今まで通り働けるかどうか不安に感じたことはないでしょうか。
産休や育休の申請やタイミング、制度についても分からないことだらけ、という人も多いはず。
初めての出産・育児で分からないことがあるのは当然です。
産休・育休が取りやすい歯科医院の特徴や求人も気になるところ。
今回は歯科衛生士の産休・育休事情と、産休・育休の仕組みについて紹介します。

産休制度とは?

産休制度はすべての働く女性が所有する権利
まずは産休制度について、説明します。
一般的に産休制度と呼ばれるものは、「産前産後休暇」の略称。
歯科衛生士に関わらず、働く女性が出産前と出産後に取得できる休暇です。

産休は正社員・パート・派遣社員など、雇用形態を問わずすべての女性が取得可能。
働き始めてすぐだとしても、取得できます。
ただし、産休中は基本的には無給です。出産する本人が健康保険組合に加入していれば、出産手当金が支給されます。

会社は産休を許可しない、出産を理由に解雇することはできません。
はっきりと解雇を匂わすような発言も違法とされています。

産休の期間

産前休暇は、出産予定日の6週間(42日)前から取得できます。
双子や三つ子など、多胎妊娠の場合は14週間(98日)前から取得可能。
体調が良く、本人の希望があれば産前休暇を取らずに働くこともできます。
実際に、産前休暇を取らずに働いている歯科衛生士も多いそうです。
ただし、重労働を避けるなど職場によっては、業務の制限をする必要はあるでしょう。

産後休暇は8週間(56日間)

これは本人の意志や希望に関わらず、法律で働いてはいけない期間とされています。
それだけ、出産が女性の身体に与えている影響は大きいのです。
ただし、産後6週間を過ぎ、かつ産後の経過に問題が見られない場合は、医師が働くことを認めた診断書があれば、働くことも可能です。
産後の体と心はとてもデリケート。
職場復帰のタイミングは、ご家族とよく話し合った方がいいでしょう。

育休制度とは

育休とは、「育児休業」の略称です。
育児休業法によって制定された仕組みで、平成28年に改正、平成29年に全面施行されました。
1歳未満の子供を養育する労働者が男女問わず、取得できます。

育休は男女ともに取得できる制度。

日雇い労働者や、同じ事業主に雇用されている期間が1年未満の有期雇用者(パート・アルバイトなど)以外であれば、雇用形態を問わず取得できます。

元々は女性が取得するイメージの多かった育休ですが、共働き家庭が多くなってきた現代社会では、育休を取る男性も徐々にですが増加。
男性社員に育休取得を奨励している企業も増えてきています。

育休の期間

育休の期間は、産休に引き続いて取得する女性場合は、出産日から起算して58日目(産休終了日の翌日)から、子供が1歳を迎える誕生日の前日まで。
男性の場合は、配偶者の出産日当日が育児休業開始日からとなります。

しかし1年以内に保育園など、預け先が見つからない場合はどうすればいいのでしょうか。
その場合も安心してください。
認可保育園への入所申し込みをしたにもかかわらず、入所できなかった場合には1年6か月まで育休の延長が可能。
その際には入所承認通知書などの書類が必要です。
さらに1年6か月の時点でも、認可保育園に入れなかった場合は最長2年まで延長が可能。
また、旦那様もしくは奥様がケガや病気、障害、死亡などの事由によって子供の養育が困難になった場合や、離婚などによって旦那様もしくは奥様と子供が同居しなくなった場合にも延長ができます。
住民票や診断書など、その事由を証明する書類が必要です。

パパママ育休プラス制度

育休の制度には、パパとママ両方が育休を取得できる制度があります。
それが、「パパママ育休プラス制度」です。
男性の育休を推進する観点から、平成22年から設けられた特例で、「両親ともに育児休業をする場合の特例」と呼ばれています。

本来育休の取得は1回まで

しかし、パパが子供の出生後から8週間以内に育児休業を取得かつ終了した場合は、もう一度時期をずらして育休を取得できるのです。
さらに通常は育休は子供が1歳になるまでですが、それも1歳2か月までに延長されます。

ママの職場復帰をサポートしたい、なるべく二人で子育てをしたいというパパママにとってありがたい制度ですね。

産休・育休の申請とタイミングは?

申請のタイミング
産休の場合
産休の申請の前に妊娠の報告を会社にしましょう。
赤ちゃんの心拍が確認できてから、安定期に入ってからなど人によってタイミングは様々。
先輩ママがいるようであれば、相談してみてもいいかもしれません。

産休の申請のタイミングは会社によって異なりますが、もちろん産休に入る前の申請が絶対。
会社が行う手続きもあるので、早めに申請した方が安心。
出産育児一時金や、出産手当金は、産休に入ってからの申請になるので焦る必要はありません。
出産育児一時金は産休に入ってから、出産手当金は産前分と産後分を一括で受け取る場合は、産後56日以降の申請で大丈夫です。

申請のタイミング
育休の場合
育休の申請は、育休予定日の1か月前までと定められています。
出産後は子育てで忙しくなりますので、早めの申請が安心。
ただし、出産が早まったなど、特別な理由がある場合は育休開始の1週間前でも申請はできます。

育休中の社会保険料の免除手続きは、育休中でOK。
ただし、育休を延長する際は、その都度申請が必要なので忘れないようにしましょう。
育児休業給付金の申請は、自分でハローワークに申請する場合は育休に入ってから4か月後の月末が期限となります。
初回以降の申請は約2か月ごとに行うので、お子さんを抱えながらの申請は大変。
多くの会社が申請の代行をしてくれますので、一度会社の総務に確認してみましょう。

産休・育休の手続きはどうすればいい?

産休の手続き①:産休の届出
産休の手続きの仕方はどうすればいいのでしょうか。
まずは、産休を取りたい旨を会社に伝えましょう。
会社によって多少異なりますが、総務部や人事部などが担当部署です。
伝えるタイミングは、妊娠の報告を伝えた上で上司から手続きを勧められる場合や、安定期などある程度妊娠週数が進んでから自分で伝える場合など、人や会社によってさまざま。
その際に有給休暇の消化などについても相談すると良いでしょう。

会社によっては、産休申請の書類を提出する必要があります。
会社が用意している書式があれば、それを利用します。
特に指定がない場合は無料のテンプレートを利用しましょう。

産休の手続き②:産休中の社会保険料免除の手続き
会社に産休の申請をした後は、産休中の社会保険料の免除手続きを行いましょう。

産休中は社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が、個人・会社負担分ともに免除されます。
社会保険料の免除手続きは、個人では行えませんので、会社に手続きを依頼します。
会社は、従業員の産休中に「産前産後休業取得者申出書」を年金事務所に提出。
その書類には、被保険者指名や、出産予定日など本人が記入する必要のある項目があり、産休に入る前に記入を済ませておくことになります。

産休の手続き③:出産育児一時金の申請
出産育児一時金の申請も忘れてはいけないステップの一つ。
出産育児一時金とは、分娩費用の負担を軽減するために作られた、公的な制度です。
子供一人の出産につき、加入している健康保険や国民健康保険から42万円が支給されます。
正常分娩の場合は、出産費用が全額自己負担となるとなるので、必ず申請しておきましょう。
帝王切開の場合は、健康保険が適用されます。

出産する本人に代わって、病院や産院が手当金の請求と、受け取りを行うことを「直接支払制度」と言います。
この制度を利用する場合は、本人が出産約1か月前に出産予定の病院や産院から「直接支払制度を利用する合意文書」が渡されます。
その書類に署名し、提出すれば退院時には手当金の超過額分だけを支払うだけでOK。
大きいお金を用意する必要がなくなるので、安心ですね。
もし、手当金よりも出産費用が少なければ、差額分が戻ってきます。
その際にはまた別の必要書類を提出し、後日指定の銀行口座に差額分が振り込まれます。

産休の手続き④:出産手当金の申請

出産後は出産手当金の申請を行います。(前述のとおりですが、出産手当金については、本人が健康保険組合に加入していることが条件です。国保では支給されません。)
出産手当金とは、産休中の生活支援を目的とした手当金。給料の代わりに健康保険から支払われます。産前休業分と産後休業分に分かれており、別々に申請もできますが、産後休業56日以降にまとめて申請・支払をしてもらうのが一般的。
出産手当金の申請には、「健康保険出産手当金支払申請書」を会社に提出します。これには被保険者本人の情報だけでなく、医師・助産師が記入する箇所もあるので、退院時までに病院・産院に記入をお願いしておきましょう。申請書は会社からもらえることが多いですが、もらえなかったり、紛失した場合は、全国健康保険協会のホームページからもダウンロードできます。
出産手当金は出産育児一時金のように一律ではありません。支給額は【標準報酬日額】×2/3×【産休の日数】で計算されます。出産予定日を超過して出産した場合は、遅れた分の日数も支給の対象になります。逆に出産予定日よりも早く出産した場合は、出産日を基準に産休の期間を再計算して申請することもできます。
育休の手続き①:育休の届出・育休中の社会保険料免除の手続き
育休を取得するには、遅くとも育休開始予定日の1か月前までに会社に申し出る必要があります。
その際に会社に「育児休業等取得者申出書」を提出。
会社がその書類を年金事務所に提出し、育休中の社会保険料の免除手続きをします。

育休の手続き②:育児休業給付金の申請
育休の申請をしたら、次に育児休業給付金の申請を行います。
育休中は、会社からは給料が支払われません。
その代わりに、原則として子供が1歳の誕生日を迎える前日まで育児休業給付金を受け取れるのです。
育休開始から180日目までは、休業開始前の賃金の67%、181日目以降は、賃金の半分が雇用保険から支給されます。
雇用保険は、育休開始前2年間に11日以上働く月が通算で12ヶ月必要となります。
また雇用者側の条件として入社して1年未満は、育休が取得できないこともあります。

育児休業給付金の申請は、本人が行うケースはレア。
会社が本人の代わりに申請することがほとんどです。
「育児休業基本給付金支給申請書」「育児休業給付受給資格確認票」など、育児休業給付金の申請に必要な書類が会社から郵送されてきますので、必ず期限内に返送するようにしましょう。

しかし、自分で申請するように指示された場合は、ハローワークに行って自分で申請する必要があります。
赤ちゃんを抱えながらの申請は大変ですが、手続き内容をしっかりと確認した上で、申請期限内に必ず申請しましょう。

産休・育休の取りやすい歯科医院とは?

産休・育休の取りやすい歯科医院の特徴1:従業員の人数が多い歯科医院
産休・育休が取りやすい歯科医院とどんなところなのでしょうか。
まず特徴として挙げられるのは、「従業員の人数が多い歯科医院」です。
従業員の人数が多ければ、産休や育休で抜けたとしても、人手不足をカバーできます。
また産休明け・育休明けに時短勤務や急な休みなど、ワークスタイルの変化にも対応してくれる場合が多いです。
従業員が少ない歯科医院ですと、少ない人員で産休中や育休中の穴を埋めなければいけません。
ある程度人員が充足している歯科医院の方が、産休・育休が取りやすいといえるでしょう。
産休・育休の取りやすい歯科医院の特徴2:医療法人として規模の大きい歯科医院
医療法人として規模の大きい歯科医院も、産休・育休が取りやすい傾向にあります。
法人の規模が大きければ、産休や育休の取得実績も多く、歯科医院側も産休や育休の申請になれています。
また産休や育休の充実など、女性に優しい福利厚生を謳っている法人も多数あります。
個人経営の歯科医院よりも医療法人として規模の大きい歯科医院の方が、産休・育休が取りやすいといえるでしょう。
産休・育休の取りやすい歯科医院の特徴3:院長が女医の歯科医院
院長が女性の場合も、産休・育休が取りやすい歯科医院といえます。
やはり女性の気持ちは、女性が分かるもの。
院長であれば、女性の重要なライフイベントの一つである出産と子育てについて、協力的な意見を持っていることが多いです。
院長が出産・子育ての経験者であれば、なおさらでしょう。
もちろん、院長が男性でも、産休・育休の取得に協力的な歯科医院はたくさんありますが、妊娠・出産はデリケートな話題。
気軽に話せる女性院長のいる歯科医院の方が、産休・育休が取りやすいかもしれませんね。

歯科衛生士の復職後のキャリアとは?

出産を終え、仕事に復帰するとなった時、休職前と同じようにはなかなか働けない歯科衛生士が多いのは事実です。
先輩ママさん歯科衛生士は、復職後どのようなキャリアを歩んでいるのでしょうか。

やはり一番重要視しているのは「子育てとの両立」。
保育園のお迎えや、子供のケガや病気による突発的なお休みのことを考えて、パートとして働いている人が多いのが実情です。
正社員として復帰したとしても、時短勤務で働くなど、子育てのために融通が効く働き方を選んでいる方が多くみられます。
その後、子育てが落ち着いてきた頃に勤務時間を伸ばしたり、正社員として思い切り働く、という方がたくさんいらっしゃいます。
勤務時間が短くなったといっても、歯科衛生士の仕事を続けていれば、それは立派なキャリアになります。
出産後も時短勤務を得て、正社員に復帰、その後主任や認定歯科衛生士、衛生士長を目指すこともできるのです。

まとめ

歯科衛生士は子育てをしながらでも働ける、女性が長く活躍できる仕事です。
しかし、出産・子育てなど女性ならではのライフイベントでは、少しお休みが必要なことも。
そのお休みの期間、出産と子育てに集中できるように、産休・育休の仕組みや申請のタイミング・流れをしっかりと把握しておきましょう。

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