キャリアアップ

歯科医師・歯科衛生士・歯科助手の業務内容の違い

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これから歯科医院で働きたいと考える方や、改めて業務の範囲を確認したい方にお届けする内容になります。歯科医院で勤務する職種には、大きく分けて、歯科医師・歯科衛生士・歯科助手があります。このほかにも、大手法人でしたら、総務や人事、経理といったいわゆるデスクワーク業務を請け負う職員がいる場合ももちろんありますが、今回は多くの医院で働く、この三職種について、書いていきたいと思います。

歯科医師の業務内容

歯科医師は、言うまでもなく国家資格でもある、歯科医師免許を取得していなければなれません。高校卒業後、歯科大学や、大学の歯学部で6年間学び、歯科医師国家試験を受験し、合格した人だけが就ける職になります。

また、歯科医師国家試験に合格し、1年以上の臨床研修を経ることが必要となり、その後正式に歯科医師として勤務することができます。ちなみに、歯科医師の国家試験の合格率は、70%~77%程度となっています。高い合格率の大学では、96%以上の合格率が出ているようです。さて、歯科医師の業務内容ですが、患者さんの歯の治療や、口腔内の疾患の治療、また予防などが主な業務になります。

具体的には、

  1. 虫歯などの歯に関する治療
  2. 歯周病など、歯肉や歯茎に関する疾患の治療
  3. 歯石の除去
  4. 入れ歯や義歯の作成
  5. 舌や口腔内、あごなどの疾患の治療・予防
  6. 歯並びの矯正やホワイトニングなどの、歯をきれいに見せる審美歯科
  7. 小児歯科
  8. インプラント

上記のような内容が主な業務になります。

全般的に取り扱っている歯科医院もありますが、最近では、ホワイトニングを看板にかかげ、保険外診療を目的とした歯科医院も多く存在します。歯科医師は、当たり前ですが口の中(時には顎まで)のほとんどの疾患を治療することができ、患者の口腔内に手をいれて、歯を削ったり、虫歯の治療したり、麻酔を打ったり、歯の型を取ったり、といったことのすべてを行うことができます。

また、歯科衛生士や、歯科助手が許される範囲内での業務を指示することができるのも歯科医師の特権です。個人医院などの比較的小規模な歯科医院では、歯科助手や歯科衛生士どちらか片方だけを雇用し、ほとんど一人で業務を行っている歯科医師もいます。

尚、開業医については、こういった業務の技術力だけではなく、経営に関する能力も必要とされます。一般的な会社で言えば、いわゆる「社長」にあたるのが、開業医の歯科医師ですから、後進を育てることや、指導する力、経営管理の法的な知識など、そういったことも必要とされます。

最近は、スタッフを雇う上で、雇用条件等の権利や見直し、患者に対するサービス業としての側面も多くみられる歯科業界になってきているので、よりそういった「歯科医師としての技術力」だけではない、雇用者としての責任、経営者としての能力が必要となっていると考えられます。

ちなみに、歯科医師の年収ですが、平均が大体600万以上であり、1000万以上の収入がある歯科医師も多いといえるでしょう。

歯科衛生士の業務内容

歯科医師と同様に、歯科衛生士も国家試験を合格して取得できる国家資格です。日本では女性が圧倒的に多い職業です。これには、理由があり、昭和23年に制定された歯科衛生士法により、女子のみと制限されていたためという経緯があります。現在では、男子にも同法が準用されるようになったため、少数ではありますが、男性の歯科衛生士も存在しています。また、近年では、歯科衛生士学校に男子学生も年々多く在籍するようになりつつあるとのことです。

歯科衛生士の資格取得には、専門教育課程を修了し、そして国家試験に合格する必要があります。専門教育は、3年制以上の専門学校や、短期大学での養成課程が一般的でありますが、近年の歯科医療の多様化や、高度な技術を求められることから、大学課程で学ぶことや、大学院(修士課程)に進学する人もいるそうです。国家試験の合格率は、かなり高めで、毎年約95%以上程度の合格率を保っています。

また、一般の歯科衛生士以外にも、歯科専門学会が認定する専門・認定歯科衛生士資格も存在しています。

  1. 日本歯周病学会認定歯科衛生士(日本歯周病学会)
  2. インプラント専門歯科衛生士(日本口腔インプラント学会)
  3. 日本歯科審美学会歯科衛生認定士(日本歯科審美学会)
  4. ホワイトニングコーディネーター(日本歯科審美学会)
  5. 日本成人矯正歯科学会矯正歯科衛生士(日本成人矯正歯科学会)
  6. 日本口腔衛生学会 認定歯科衛生士(日本口腔衛生学会)

また、歯科衛生士として5年以上の実務経験があれば介護支援専門員(ケアマネージャー)の受験資格が得られます。これらの資格を取得することで、さらに歯科衛生士としてのキャリアアップすることできます

それでは、歯科衛生士の具体的な業務ですが、歯科衛生士は、歯科助手と違って患者さんの口の中に手をいれて処置をすることが許可されています。

業務内容は大きく分けると、

  1. 歯科診療補助(歯科医師の補助)
  2. 歯科予防処置
  3. 歯科保健指導

以上の3点になります。

特に①②に関しては、主に患者さんの口腔内に手を入れて行うので、歯科助手にはできない歯科衛生士の資格が絶対に必要な業務になります。具体的には歯科医師の監督・指示のもとで、虫歯や歯周病予防のために口腔内をきれいにして、予防処置を行います。歯垢や歯石を取ったり、フッ素を塗ったりといった口腔内の汚れの除去や健康を保つための業務になります。

口腔内の処置のほかに、やはり、歯科医師の監督・指示のもとで、歯の型取り、レントゲンの撮影補助(撮影の際、ボタンを押すことは禁じられています)や、診療器具の受け渡し、洗浄や衛生管理、準備等といった、歯科診療のあらゆるサポートをします。

そのほかにも、レジンの充鎮という虫歯をとった穴の中にプラスチックを詰める業務や、仮歯の作成、患者さんへのカウンセリングなどを行うこともできます。そして、歯科保健指導では、虫歯や口腔内の改善・病気予防のために、患者さんにブラッシング指導をすることがあります。

では、逆に歯科衛生士が行ってはいけない業務とはどんなことなのでしょうか。主には、以下の業務が禁じられています。

  1. 歯を削る
  2. 歯や口腔内について診断をする
  3. 抜歯
  4. 歯茎に注射を打つ
  5. 歯根の治療
  6. レントゲン撮影の際、X線のボタンを押す

こういった内容は、歯科衛生士には許されていない業務になります。特に診断をしてはいけない、という点においては、歯石取りの最中などに患者さんに聞 かれた場合に聞かれることも多いでしょう。しかし、患者さんの口腔内がどういう状態に   なっているかわかっていても、歯科医師を呼んで口腔内を診てもらい、歯科医師から話してもらわないといけません。

そして、歯科衛生士の年収は、年齢・経験はもちろん、地域によっても大きく変わってき  ますが、概ね300万~高い人で500万円台くらいになるといえます。

歯科助手の業務内容

歯科助手は、歯科医師・歯科衛生士と違って特別な資格は必要ありません。歯科衛生士を目指す学生さんが、アルバイトで歯科助手として勤務することや、歯科助手として働いていて、その後に歯科衛生士を目指す人もいます。

歯科助手は、「未経験可」の求人も多く、実務経験を積んでスキルを磨いていくことができます。但し、近年は歯科の需要が増えたこともあり、「経験者優遇」とされている医院も多くなってきており、その場合は、即戦力を求めている医院であると考えたほうがいいでしょう。

また、資格は必要ないと述べましたが、民間資格である歯科助手の認定資格を取得しておくことで、就職に有利に動くでしょう。未経験でも、認定資格をもっておけば、実務経験はなくても、知識を持っているので、診療の際の医療器具の名称や、専門知識・用語など聞きなれない言葉にも反応することができると思います。そのため、勤務開始後、比較的スムーズに業務に着けるので安心です。

さて、歯科助手の業務内容ですが、大前提として、歯科衛生士のところでも述べたように、患者さんのお口の中に手を入れることは禁止されています。患者さんの口腔内に手を入れられるのは、国家資格を持った歯科医師と、歯科衛生士のみです。(もちろん、医師も可能です)

ということなので、主な業務は

  1. 受付や電話応対など、事務的な業務全般
  2. 歯科医師のサポート業務

大きく分けてこの2点になります。

受付等の事務的業務については、カルテの管理・整理、医院内の案内業務、患者さんの予約受付、会計、薬の受け渡し、電話応対などです。歯科医院によっては、経理業務や、スタッフの勤怠管理などを請け負うこともあります。また、宅配便や郵便物の受取り、歯科医院内の清掃なども歯科助手が行う業務になります。

続いて、歯科医師のサポート業務ですが、歯科医師が行う虫歯等の治療のサポートをします。器具の洗浄や、準備等はもちろんのこと、例えば次のような業務があります。

バキュームやライト

これは、患者さんになったことのある人なら良く分かると思いますが、患者さんお口の中が良く見えるようにライトで照らしたり、治療中、患者さんが唾液を呑み込めないので、それをバキュームで吸って楽にしてあげたりすることです。

削った歯のかけらや詰め物のかけらも吸い込むこともあります。一見、簡単に思えるこの業務ですが、歯科医師の治療の邪魔にならないようにしたり、患者さんがむせたり辛くならないように気配り目配りをしながら、ちょうど良い加減で行わなければならないので、経験を積むことが大切です。

歯形を取るための印象材や歯に詰めるセメントを練る

虫歯を治療している最中、治療した歯に詰め物や被せものを接着させるためにセメントが必要になります。また、患者さんの被せものを作るために、歯型を取るための印象材(ピンクの温かい粘土のようなもの)が必要となります。どちらも、スムーズに治療が進むために練っておくことが必要です。

これも歯科助手が行うことがあります。こちらも経験を積むにつれて、歯型が取りやすい柔らかさにすることができますので、先輩や歯科医師に指導を仰ぎ、根気よく行います。また、ここで作った印象材の型に石膏を注いで歯のかぶせものや差し歯を作るためのサポートも行うことがあります。

歯科助手の仕事は、禁じられているもの以外、かなり幅広い業務になりますので、臨機応変に、要領よく業務をこなしていくことが大切となります。

ちなみ、歯科助手の年収は、250万~300万といわれています。このように、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手の業務には、違いがあります。歯科医院によっては、歯科助手か、歯科衛生士のどちらかしか雇用していないところもあり、その場合、歯科衛生士が受付や予約業務などを請け負うこともあります。

気になる方は、求人内容に出ていない場合は、歯科医院に確認してみる必要があるでしょう。

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