歯科衛生士のトラブル~退職時編~

歯科衛生士に限らず、働いていれば、職場でのトラブルはつきものです。
歯科業界においても、様々なトラブルがありますが、せっかく歯科衛生士の資格をとって働いていても、誰しも一度は歯科衛生士の仕事を辞めたい、もしくは、今の職場を退職したいと思ったことや、考えたことはないでしょうか。
仕事内容、人間関係、給料など、辞めたい理由は人それぞれかと思います。
しかし、いざ退職しよう、と思った時に円満に退職するには、どうすればいいのでしょうか。
退職の仕方によっては、次の転職に響くことも出てきてしまいます。
今回は、歯科衛生士の退職時のトラブルと、その解決方法について、お話させて頂きます。
歯科衛生士の仕事を辞めたい、今の職場を転職したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

退職の時のよくあるトラブルとは?

退職の時のよくあるトラブル1:辞めたいのに辞めさせてもらえない
歯科衛生士の退職トラブルの中で多いのが、辞めたいのに辞めさせてもらえない、ということです。
勇気を出して退職の意志を伝えたのに、退職を認めてもらえない、というのは珍しい話ではありません。
歯科医院としては、折角コストをかけて採用した歯科衛生士を手放したくない、人手が足りてないから辞められては困る、という背景から退職の引き留めや、引き伸ばしを行うことが、しばしばあります。
「後任が決まっていないから」「仕事を引き継げる人がいないから」など、さまざまな理由をつけて、歯科医院から退職の引き伸ばしや、引き留めをされている歯科衛生士は多いようです。
多少なりともお世話になったから、と引き伸ばしや引き留めに応じてだらだらと仕事を続けていくうちにすっかり辞めるタイミングを失ってしまったなんてことも。
中には退職願の受理を拒否されてしまったり、ひどいところでは、退職願を目の前で破られたりした、なんてこともあるそうです。
そんなことをされると、余計に辞めたくなってしまいますよね。

退職の時のよくあるトラブル2:退職するまでの期間の嫌がらせ
歯科医院の退職トラブルとして、よく挙がるのが、退職するまでに受ける嫌がらせです。
辞めると決めたとしても、仕事はしっかりと最後までまっとうしたいもの。
しかし、歯科医院によっては、仕事中に退職が決まった歯科衛生士に嫌がらせをすることもあるそうです。

① 人間関係に関する嫌がらせ
・ 歯科医師や他の歯科衛生士から強く当たられる
・ 連絡事項が自分にだけ伝えられない
・ 悪口を言われる
・ 根拠のない噂話を流される など

② 仕事に関する嫌がらせ
・ 仕事量が自分だけ増える
・ 自分だけ仕事をさせてもらえない
・ サービス残業をさせられる
・ 患者さんの前で叱責される など

退職が決まったとしても、このような嫌がらせを受けると誰でも憂鬱になってしまいます。
歯科医院としては、「折角ここまで育てたのに!」という思いがあるかもしれませんが、退職する時には、お互い気持ちよくお別れしたいものです。
これらの嫌がらせは、違法性のあるものもあるので、万が一の時のために、嫌がらせを受けたときは、日付、誰からか、どんなことをされたのか、をメモにしておくことも自分を守るために大切なことになります。

退職の時のよくあるトラブル3:有給休暇を取らせてもらえない
退職の引き留めや、嫌がらせと同様に退職時のよくあるトラブルとしてあるのは、有給休暇に関するものです。
有給休暇は、労働者が無条件に取得できる権利。
本来であれば、企業側から有給休暇の取得を拒否することはできません。
しかし、歯科医院によっては、退職時に有給休暇の取得拒否をするところもあるというのが、実情です。。
「引き継ぎが終わっていないのに有給休暇は取得できない」「退職する時に有給休暇は消化させない」など、その歯科医院独自のルールや、医院側の言い訳を持ち出してきて、有給休暇の取得を拒否するケースも、残念ながら多くみられます。
こういった場合、雇入れ側に有給休暇の取得を拒否されてしまうと、有給休暇は取れないんだと思い込んでしまう歯科衛生士さんも多く、泣き寝入りしてしまったなんてこともよく聞きます。
また有給休暇で揉めるくらいなら、取得を諦めて円満に退職しよう、と考える歯科衛生士さんも多いでしょう。
折角、自分の権利として付与されている有給休暇を消化できないのは、非常に悔しい思いをしますよね。

退職に関する法律のあれこれ

労働基準法における「退職」とは
~歯科衛生士が円満に退職するときに知っておくべき退職交渉について~(リンク貼る)の中でも記載していますが、退職は、主に労働基準法と民法に則って行われます。
労働基準法における退職とは、「労働者の意思に基づく労働契約の一方的解約」であり、会社との雇用契約の終了を意味します。

労働者の意思による退職は、原則として自由。
会社側は退職を拒否することができないのです。
ただし、退職時のルールが「民法」によって定められていますので、いつでも勝手に退職していいというわけでもないのです。

民法の退職のルール:無期雇用の場合
民法上、期間の定めのない雇用契約の場合、退職の2週間前までに退職願を出せば、退職ができます。
これが法律上の退職の基本的なルールです。
雇用期間に定めがなければ、正社員以外のアルバイトやパートでもこのルールが適用されます。
2週間以降に退職願を出しても辞めることはできますが、会社から損害賠償請求をされる恐れも。
また歯科衛生士の業界は広いようで狭い業界。
無理に退職した、と悪い噂はすぐに広まってしまい、その後の転職に響いてしまうこともありますので、どうしてもというやむを得ない事情以外では、最低限2週間以上前を遵守するようにしましょう。

民法の退職のルール:有期雇用の場合
雇用契約期間に定めがない場合は、最短2週間で退職できましたが、雇用契約期間があらかじめ決まっている場合はどうでしょうか。
あらかじめ雇用契約期間が定められている場合は、原則として契約期間途中での退職はできません。
しかし、民法によって「やむを得ない事由」がある場合に限り、契約期間途中でもすぐに退職が認められています。
具体的に「やむを得ない事由」は法律上明記されていませんが、認められる理由としては以下のようなものが挙げられます。
・ 妊娠
・ 出産
・ 家族の介護
・ 遠方への引っ越し
・ 賃金の未払い
・ 長時間の残業 など

「やむを得ない事由」はないけれど、すぐに退職をしたい、という場合は、本人と会社間での合意があれば退職は可能ですが、会社側から損害賠償請求をされる可能性もゼロではないので、前述のとおり、出来る限り下げたほうがいいでしょう。
ただし、労働基準法によって、雇用期間が1年以上定められていたとしても、契約期間の初日から1年以後は、労働者の意思で自由に退職できるとされています。

就業規則と法律のルールが違う場合は、法律が優先

多くの歯科医院では、就業規則に退職の際のルールが明記されています。
退職の1か月前に退職の旨を伝える、という規則が多いです。
そのルールが法律と異なった場合はどうしたらいいのでしょうか。

会社の就業規則や雇用契約よりも法律が優先されるので、雇用元の就業規則に「退職には1か月必要」と明記されていても、2週間で退職することは可能です。
ただし、業務の引継ぎや欠員の補充に時間がかかりますので、実際には2週間で円満に退職、というのは困難なことです。
円満に退職するためには、歯科医院の就業規則に従って退職を申し出るのがベストと言えるでしょう。

退職を切り出すタイミングとは?

退職を切り出すタイミング1:人員が充足している時
退職を切り出すタイミングとして、受け入れられやすいのが、現場に人員が充足している時です。
人手不足であれば「新しい人が入ってくるまで」「新人が落ち着くまで」など、退職を先延ばしにされてしまったり、場合によっては退職をうやむやにされてしまう恐れがあります。
ある程度現場に人員が充足していれば、歯科医院側としても余裕を持って退職を受け入れられます。
退職を切り出すタイミング2:繁忙期を避ける
人員の充足具合と同様に、繁忙期かどうかも、重要な要素。
人手が足りていても、忙しい時期の退職は現場にとってかなりの痛手です。
「忙しい時期に退職なんて…」と嫌な印象を与えかねません。
円満に退職するためにも、退職を切り出すタイミングは、繁忙期は避けた方がいいでしょう。

歯科衛生士の退職の理由とは?

歯科衛生士の退職の理由1:人間関係
歯科衛生士に限らず、退職の理由として多いのが、人間関係です。
仕事を続けていく上で、一緒に働いていく同僚や上司との関係は非常に重要。
特に歯科衛生士は、歯科医師との連携やコミュニケーションを求められる職業ですので、仕事を続けていけるかどうかは、人間関係にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
その分、人間関係に悩む歯科衛生士は多く、以下のような理由が挙げられます。

・ 歯科医師・他の歯科衛生士と相性が合わない
・ 先輩歯科衛生士が高圧的
・ 先輩歯科衛生士が仕事を教えてくれない
・ 職場での人間関係が既にできあがっていて、輪の中に入れない
・ 先輩または同僚からのいじめ・嫌がらせ
・ 歯科医師や、上長など、職場内でのセクシャルハラスメント・パワーハラスメント・マタニティハラスメント、など。

その人や歯科医院によって事情は様々ですが、仕事に影響が出てくるような人間関係の問題を抱えてくると、退職や転職を考えるのは仕方のないことですよね。

歯科衛生士の退職の理由2:仕事内容・環境
人間関係と同様に退職理由の一つとして歯科衛生士から多く挙がるのは、仕事内容や環境です。
好きで選んだ歯科衛生士という仕事も、歯科医院によって細かい仕事内容や環境は異なります。
それが自分に合っているかどうかが、その職場で長続きするかどうかを左右します。
仕事内容や環境が原因の退職理由は以下のようなものが挙げられます。

・ 人手不足
・ 仕事量が多すぎる
・ 残業が多い
・ サービス残業をさせられる
・ 衛生面に問題がある
・ 器具や機器が古く、業務に支障がある
・ スキルアップ・キャリアアップできる環境ではない    など

人間関係が良かったとしても、仕事内容に不満があったり、職場環境に問題があると、退職や転職を考えるようになります。

歯科衛生士の退職の理由3:給料
どんなに人間関係のいい職場で、仕事内容や環境が良くても、満足のいく給料でなければ、退職や転職を考えてしまいます。

・ 仕事量に対して給料が少ない
・ 残業代が支払われない
・ ボーナスが出ない
・ ボーナスが少ない
・ 最初に提示された給与と異なる
・ 何年も昇給しない など

単純に金額だけでなく、仕事量に対して給与が見合わない、ずっと昇給しない、など給与に関する悩みを抱えて退職や転職を考える歯科衛生士は多いようです。
最初に聞いていた給与と実際の額が違う、残業代が支払われない、など違法性のある環境で働いている歯科衛生士もいました。

円満退職できない場合はどうすればいい?

円満退職できない場合の解決法1:引継ぎだけはしっかり行う
できることなら円満に今の職場を退職したいものですが、全ての職場で上手くいくとは限りません。
円満退職が出来ない場合、どうすればいいのでしょうか。

円満退職が難しい場合であっても、業務の引継ぎだけはしっかり行うことをおすすめします。
後任の人が決まっていれば、その人に細かい部分までしっかりと引継ぎを行いましょう。
退職してから、「あれはどうだったけ?」と連絡が来てしまう、なんてこともあり得ます。
業務を引き継げる人がいない場合や、退職までに引き継ぎが終わらなさそうな場合は、「引き継ぎノート」がおすすめ。
手書きでも、パソコンでも構いません。
その業務の手順や注意点など、自分が普段行っていることや気を付けることを明文化しておくことによって、無理な退職や急な退職であっても、最低限職場への義理を果たせます。

円満退職できない場合の解決法2:内容証明を送る
どうしても退職を認めてくれない最終手段として使えるのが、内容証明郵便です。
(歯科衛生士が円満に退職するときに知っておくべき退職交渉について 参照)
内容証明郵便とは、「いつ、誰が、誰に、どのような文書を送ったのか」ということを証明する郵便方法です。
退職願を内容証明郵便で郵送することで、「自分が歯科医院に退職願を発送した事実」、「発送日」、「退職願の内容」を郵便局が証明してくれるのです。
内容証明郵便を受け取った歯科医院は、退職願を受け取ったとみなされ、いくら拒否をしたとしても、発送日から2週間で退職をすることができます。

ただし、これはあくまでも最終手段。
上司に退職の相談をした上で、直接退職願を出すのが礼儀であり、本来の流れです。
どうしても職場に行けない、上司が退職願を受け取ってくれないなど、どうしようもない状況の場合に用いるようにしましょう。

まとめ

歯科衛生士の業界は離職率が高く、退職や転職に悩む歯科衛生士が多いのが現状。
その多くが、人間関係や仕事内容、職場環境や、給与が原因のようです。
円満退職が理想ですが、そうもいかない場合も出てきてしまうので、やむを得ないことです。
どうしても退職したい場合の最終手段を知っておき、退職や転職のタイミングを逃さないようにしましょう。
そして、一番大切なことは、「お世話になった方への感謝の心を忘れず、できるだけ自分の退職後に迷惑をかけないように、すっきりとした退職を目指す」ということかと思います。

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