就職・転職活動をするときに絶対に必要なのが、履歴書ですよね。面接時に初めて採用担当者に会った際、はきはきとした話し方・明るい表情・その他の丁寧な対応は、もちろん大切です。そして、合否を決めるうえで、もう一つ重要な判断材料になるのが、この履歴書です。
履歴書は、あなたが面接を終えて帰った後も、採用担当者の元に残ります。わかりやすく、きれいに丁寧に書かれているか、自分のことをきちんとアピールできる文章になっているか、履歴書の好印象を残すための書き方ポイントをまとめてみました。
手書き?パソコン?履歴書のフォーマット
履歴書は、だいたいどこにでも売っています。コンビニエンスストア、文房具やさん、書店など、手軽に手に入ります。また、インターネット上で検索すると、パソコンで作成できる履歴書も出てきますので、それをダウンロードするのもいいでしょう。
そこで、まず悩むのは、手書きで書くほうがいいのか、パソコンできれいに作ったほうがいいのか、というところですよね。どちらで作成しても間違いではありません。おすすめとしては、手書きですが、希望する歯科医院によって変えてもいいかもしれません。
例えば、開業が古く、地元に根ざしたといわれるような、先生がお一人の歯科医院への転職であれば、手書きをお勧めします。手書きのほうが温かみも出ますし、先生が見慣れていると思うからです。逆に、最新の治療機器を扱っているような、多くの系列医院を抱えているような大手医療法人であれば、パソコンスキルを問われることもあるので、パソコンできれいに作成して、そういったスキルを同時にアピールすることもできるのではないでしょうか。
では、それぞれの書き方のポイントです。
手書きの場合
- 書き間違えたところは、修正テープや二重線での訂正などはせず、面倒でも必ず書き直すようにしましょう。
- 鉛筆で下書きをして、しっかりと見直してから、万年筆や黒の水性ボールペンで上書きをしていくほうがいいと思います。その際、しっかりと乾いてから下書きを消さないと、ボールペンがこすれて汚くなってしまうので、ご注意を。
また、消し忘れの無いように必ず確認するようにしましょう。 - 文字は、行に対してバランスよく書きましょう。
はみ出したり、極端に大きかったり、小さかったりということの無いように。 - 文字は、さささっと書くのではなく、丁寧に1文字1文字を書いていきましょう。
字が苦手、という方もいらっしゃるかと思いますが、得意ではなくても丁寧に書いていくことで誠意は伝わります。
また、字がきれいでも、雑に書いてしまえばそれも伝わってしまいます。 - フリガナを書き忘れないようにしましょう。
フリガナと書かれていた場合は、カタカナ、ふりがなと書かれている場合は、ひらがなで書くと決まっています。
パソコンの場合
- 文字のバランスが良くなるようにきちんと配置を全体的に見ながら、入力しましょう。
- 文字の頭がずれることのないよう、改行をする場合などは、頭をそろえるようにして、見栄え良くしましょう。
- フォントの種類は、明朝体が無難です。絶対に丸ゴシックなどの字体を使うようなことはないようにしてください。
- 文字の大きさも、それぞれの項目にあった大きさを選択しましょう。
志望動機やその他欄など、行が定められていない場合は、小さすぎず、大きすぎず、適切な大きさで、更に、文字が隠れてしまうことの無いように気を付けましょう。 - すべての入力が終わった後、プリントアウトをしてから必ず見直してください。
パソコンの画面をみているだけですと、文字のずれや、誤字を全て確認することは困難です。
手書き・パソコン共通
全体的に、空欄・空白の多いスカスカの履歴書では、印象が良くありません。職歴欄はともかくとして、志望動機や、その他希望欄などは、自分の言葉を使って、欄が埋まるようにしっかりと、書きましょう。
履歴書の写真
写真は、当然のことながら面接用にきちんと撮影しましょう。また、3ヶ月以内に撮影したものを提出しましょう。いくらきちんとした服装をしていても、スマートフォンで撮影したものを貼り付けるのは、好ましくありません。
スナップ写真の切り抜きや、プリクラなどは絶対にやめましょう。低価格で撮影できるスピード写真の機械でもいいですし、スタジオで撮ってもらうのもいいでしょう。サイズは、大抵3センチ×4センチのサイズが多いと思います。履歴書の写真を貼る欄に記載されています。
スピード写真の機械でしたら、「面接用」や「履歴書用」と記載されたサイズを選択できますし、スタジオでの撮影なら、お店の人に「履歴書に使います」と伝えれば、大丈夫だと思います。
服装は、下記の挙げる面接に行く時のような服装で撮影しましょう。胸の上から顔までがしっかりと写るようにします。
- 黒や紺のジャケットに、白っぽいのワイシャツやインナー。胸元が空き過ぎないように注意しましょう。
- アクセサリーを着けるなら、シンプルなもので。
- 顔はこわばらせず、自然な笑顔で写るようにしましょう。但し、歯は見えないように笑いましょう。口角をあげて、目を大きく見開くことを心がければ笑顔になります。
また、正面から写ることを意識し、上目づかいにはならないようにしましょう。 - メイクはナチュラルメイクですが、チーク、リップは明るめの色をつけるようにすると、顔色も良く、表情も明るく見えます。
- ヘアメイクは、まず、前髪は目が隠れないように、切りそろえたり、ヘアピンで抑えるなどして、顔が隠れないようにしましょう。肩に髪がつくくらいの人は、後ろに一つに束ねるのもいいでしょう。もしも下す場合も、髪の毛は後ろにまわして、肩が見えるようにすると、清潔感が出ます。また、髪の色は、面接時と同じく、自然な茶色くらいまでの明るさで。
一般的にはレベル8以下の色がいいでしょう。写真だからと言って、金髪に近い色のままでの撮影は絶対にやめましょう。 - 面接当日に撮影する場合もあるかもしれませんが、その際でも必ず写真を貼り付けて持参しましょう。面接の場で貼ったり、バラバラに提出することはよくありません。
具体的な記入内容
日付
- 記入した日付ではなく、面接する(提出する)日付を記入します。
- パソコンで作成した場合は、見落としがちだったり、位置がずれてしまうこともあります。プリントアウトした後よく確認しましょう。
氏名・生年月日・性別・住所・連絡先
- その欄の大きさに見合った文字の大きさで記入しましょう。
- フリガナを振り忘れないようにしましょう。
- 住所は、都道府県から記入しましょう。また、郵便番号も忘れずに。
- この欄は、考えることなく書ける内容なので、最後の見直しの際、見落としがちになります。意識してきちんと確認していくようにしましょう。
経歴『学歴』
- ここは、各項目別に「学歴」「職歴」とわけて書きます。
- 1行目の中央部分に「学 歴」とバランスよく記入し、2行目から書き始めます。
- 学歴は明確な決まりはありませんが、指定がない限り、中学卒業年次から書くのが良いかと思います。
- 学校名は略称ではなく、正式名称で書きましょう。
例えば「都立」「県立」ではなく、「東京都立」「神奈川県立」と記載。
「高校」ではなく「高等学校」と記載しましょう。 - 入学・卒業を1行に省略して書くのではなく、2行にわけて入学・卒業(中退の場合も)を記入しましょう。
学生時代に長期にわたる(半年~年単位など)留学経験がある場合は、それも記載するといいでしょう。 - 新卒の方の就職活動の場合は、現在通学している学校名を書いて、「卒業見込み」と記入しましょう。
経歴『職歴』
- 学歴の記載が終わったら、1行開けて、行の中央に「職 歴」とバランスよく記入しましょう。
- 職歴は、現在に至るまでの入職・退職履歴をすべて記載します。
- 学生時代のアルバイトは基本的には記載しなくていいですが、もし、歯科助手のアルバイト経験があるのであれば、アピールポイントになりますので、一番上に書いてもいいと思います。
- 歯科職種以外の社会人経験がある場合でも、記載が必要になります。
- 現在在職中の場合は、歯科医院名の後ろに「在職中」と記入し、その下の行に「現在に至る」と書きましょう。
- 最後に、その下の行の右端に「以上」と書くのを忘れずに。
職歴を書くうえで、短い期間で退職しているのをためらうことがあるかと思います。しかし、社会保険の手続きなどをしていると、職歴は必然的に歯科医院側に知られることとなります。その際に、履歴書通りでないと、「隠している。経歴を詐称している」ととらえられかねません。ですので、アルバイト以外はすべて記入するようにしましょう。
面接で、短期間での退職理由を問われることもあると思います。その際は、前向きな回答にできるように、事前に回答を考えておくことで、マイナスイメージをカバーできるようにしましょう。
免許・資格
- 既卒の方は歯科衛生士免許について記載を忘れないようにしましょう。
記載するときは、免許証を確認して、取得年月の誤りのないように気を付けましょう。
在学中で、まだ歯科衛生士免許を取得していない場合は、〇年〇月取得見込みと記載すればOKです。 - その他の資格はあれば記載しましょう。
資格があると「学生時代にしっかりと学業に取り組んできた」というアピールにもなります。 - 訪問診療がある歯科医院も多いので、自動車運転免許がある人は、記載を忘れないようにしましょう。
- 英検や漢字検定などの資格は、3級以下は書かずに、2級もしくは、準2級以上くらいの級数から書くほうが無難でしょう。
志望動機
志望動機は、採用担当者が最も重要視する項目の1つです。手を抜かず、しっかりと自分の伝えたいことを記入できるよう、考えや文章をまとめてから書くようにしましょう。字を丁寧に書くことはもちろん、文字数が少ないスカスカの欄にしないことも、あなたのやる気・熱意を伝える上でとても大切です。まずは、自分がこの歯科医院を志望する理由を整理しましょう。
おそらく、条件面(家から近い、給与・待遇が良い、勤務時間が合う)などの理由が最初に出てくると思います。
しかし、それらを書くのは避けたほうがいいでしょう。条件面のみの志望動機は、採用する側からすると、もっといい条件の歯科医院があったらそちらに行ってしまうのでは?という不安を招きます。
それよりも、歯科医院のホームページを読み込んで、どういった診療に力を入れているのか(インプラントや、矯正歯科、予防歯科など)をきちんと把握し、それにそって、「御院(貴院)では〇〇の診療について、より多くの経験をさせていただけると感じ、また、一人一人の患者さんにしっかりと時間をとって、ご希望に沿う診療をしていけると思いました。
そして、私自身もアットホームで、温かい環境で勤務したいと思い、御院での勤務を強く希望しております」など、自分の働く意欲、学ぶ意欲をアピールできるようにしたほうが、圧倒的に好印象を残すことができると思います。
先に述べましたが、前職での退職理由にも志望動機の中で触れる場合、特に短期間で退職している場合には、この志望動機の中で、「〇〇について深く学びたいと思っておりましたが、それが難しい環境であったこともあり・・・」「前職では患者さん一人一人とじっくりと向き合う時間があまりとれず、患者さんの為の診療がきちんとできる環境で働きたいと思ったので・・・」等と記載して、前向きな姿勢での退職をアピールすることもできるでしょう。
但し、歯科業界は人間関係がつながっていることもあるので、明らかにまったく違う内容での退職の場合は、明記しないほうがいいこともあります。(例えば、インプラントに力を入れている歯科医院だったのに、「インプラントについて学べなかった」と書けば、疑問を持たれてしまいます)
また、午前中のみ、短時間のみのパート希望の場合は、短時間勤務の具体的な理由(子供がまだ幼稚園なので等)を示し、更に、家庭との両立をしていきながら、将来的には時間を増やして働いていきたい、貴院に貢献していきたいという姿勢をしっかり示したほうがいいでしょう。
自己PR欄
この欄がある履歴書と、ない履歴書もあるかと思いますが、基本的には長所短所などを記載していくことがいいと思いますし、また面接で「自身の長所・短所を話してください」と言われることも多くあるので、ここでまとめておいて損はありません。長所短所は、紙一重で、裏返すとつながっています。ですので、短所は長所へとうまく変換できるように書くことがいいでしょう。
また、自分自身のことを伝える場で、きちんとコミュニケーションが取れるかどうか、これも歯科衛生士にとって重要な課題です。コミュニケーション能力をアピールする場でもあると認識し、歯科医院にとってプラスになる人物であると伝えられるよう文面を考えていきましょう。
趣味・特技
あなたのことを伝える履歴書なので、「特になし」は避けましょう。この欄は、業務とは直接かかわりのないところですが、採用担当者と思わぬ共通点になったりすることもあり、そこで会話が弾むこともあるかもしれません。「読書」「登山」「釣り」「映画鑑賞」など、無難な回答でいいので、必ず1つ以上は記載するようにしましょう。
その他特記事項記載欄
特にない場合は「特になし」で問題ありません。ただ、短時間勤務希望の場合や、絶対に譲れない条件がある場合は、ここに明記しておくきます。「週3回程度、14時までの勤務を希望します」等、具体的に書きましょう。
但し、細かく書きすぎるのはよくありません。採用担当者との面接の中でお互い譲りながら勤務体系を築いていくことになるので、ここで細かく書いてしまうと、それ以上は絶対にできないということなのでは?というマイナスな印象になってしまいます。書き方にはよく注意しましょう。
4. 職務経歴書
職務経歴書は、歯科医院側から指定されない限り必須ではありません。しかし、中途採用で面接を受ける歯科衛生士さんの場合は、持参していったほうが、印象はとてもよくなりますし、自分がこれまで経験してきた業務が書面に書かれているので、相手にも伝わりやすくなります。
職務経歴書のフォーマットは、履歴書と同じく、書店や文房具やさんに販売もされていますし、インターネットでフォーマットをダウンロードすることもできますが、履歴書ほど書式が決まっているものではないので、Wordなどでご自身で作成しても問題ないでしょう。
具体的な記載内容は、
〇〇歯科医院(〇年〇月~〇年〇月まで勤務)
業務内容・・・患者さん担当制、1日〇人程度担当、予防歯科メイン
等と、勤務先ごとに、いつからいつまで勤務していて、その中でどういった業務、役割(主任等の管理職経験も含め)を担当していたのかを記載していきましょう。
見直しをする
全ての記入(入力)がすんだら、よく見直しをしましょう。はじめにも述べましたが、手書きの場合は鉛筆での消し忘れがないか、パソコンの場合はずれている箇所、隠れてしまっている文字はないかどうかの確認が大切です。
また当然ながら、誤字や誤記載(年月)などがないかどうか、改めてよく確認しましょう。コピーを取っておくのもいいと思います。
提出方法
面接時に提出
履歴書(職務経歴書がある場合は一緒に)を封筒に入れ、持参しましょう。面接の部屋に案内されたときに、預かりますと言われる場合もありますので、カバンからすぐ出せるように準備しておきましょう。
何もいわれなければ、面接になったときに、封筒ごとお渡しすれば大丈夫です。また、丁寧さに欠けるので、剝き出しで持っていくのは避けましょう。
郵送の場合
歯科医院の面接の場合、あまり郵送で先に送ってから、というのは多くはないかと思いますが、中には先に履歴書をみておきたい、という歯科医院もあります。その際は、宛名なども丁寧に書くようにしましょう。
宛名は、電話での問い合わせの後の郵送になった場合、どなた様宛にお送りすればいいでしょうか、と確認してください。担当者のお名前は、漢字も必ず聞いて、間違いのないようにしましょう。
住所などいわれなかった場合は、インターネットで歯科医院名を検索すると簡単に出てきます。郵便番号からきちんと書くようにしましょう。宛名は正式名称で。医療法人がついている場合は、それも必ず書きましょう。
医療法人社団 〇〇会 〇〇歯科医院 採用ご担当 〇〇様
医療法人〇〇会 〇〇デンタルクリニック 院長 〇〇様
といった書き方になります。
担当者の名前がわからない場合や、歯科医院宛に送ってくださいと言われた場合は、
医療法人社団 〇〇会 〇〇歯科医院 御中
と書きましょう。決して、「様」と「御中」を重複して使うことの無いようにしましょう。
まとめ
以上、履歴書・職務経歴書についてお伝えしました。
大切なことは、記入は丁寧に、あなたの仕事に対する熱意をきちんとアピールできるように作成する、ということです。
面接まで日がある場合は、前日などに慌てて作成せず、余裕をもって数日前には記入を終え、何度か見直して作成していくと、より良いものが出来上がると思います。
あなたの面接をより好印象にサポートできるよう、履歴書の作成も頑張ってください。
履歴書の書き方でご不明な点がありましたら遠慮せず、歯科転職ナビにご相談ください。