どんな職種でも、就職をするためには、必ずといっていいほど、面接があります。歯科衛生士の皆さんも、新卒の方でも、中途採用の方でも必ず面接があり、採用の合否が決まりますよね。ここでは、歯科医院における歯科衛生士さんの面接で、基本となる事項や流れ、そして好印象となるポイントをお伝えしたいと思います。
問い合わせについて
面接についての具体的なポイントをお伝えする前に、面接の前段階では、皆さん必ず、就職活動をされていると思います。そして、働いてみたいな、気になるな、と思う歯科医院の求人を見つけたら、問い合わせをしますよね。問い合わせの方法は、歯科転職ナビのような就職支援サイトや、歯科医院のホームページの問い合わせ欄やメール、電話が主になるかと思いますが、稀に履歴書郵送での応募になる歯科医院もあるようです。
採用の合否は、面接で決まることがほとんどではありますが、採用する側からの視点で考えると、応募してきた歯科衛生士さんの印象というのは、この問い合わせの段階から始まっていますので、一番はじめの電話等での問い合わせから、気を抜かず、印象が良くなるような応対をすることがとても重要です。
電話での印象の良い応対とは・・・
- 明るい声で、はきはきとした話し方
- 丁寧な言葉遣い
- 問い合わせの内容を分かりやすく伝える
といった、ごく当たり前のことですが、意識して行うことで、よりイメージアップにつながり、「会ってみたいな」と歯科医院側に感じていただけると思います。また、細かいことですが、電話を切るときはできるだけ、相手が切るのを待ってから切った場合のほうが圧倒的に印象は良くなります。
具体的な応対例ですが、
「お忙しいところ恐れ入ります。私(わたくし、と言いましょう)、〇〇〇〇(フルネームで)と申しますが、御社の求人情報をみてお電話させていただきました。ご採用担当の方がお手すきでしたら、お願いしたいのですが・・・」
などと伝え、採用担当者(院長や、奥様、もしくは別に採用担当がいらっしゃることがほとんどです)が電話に出られたら、改めて自己紹介を簡単にして、具体的に内容を伝えます。
「お忙しいところ恐れ入ります。私、〇〇〇〇と申しますが、御社の求人情報をみてお電話させていただきました。今現在、常勤(もしくは非常勤、午前中のみや、夕方まで、週3回程度の、など)の募集は、現在されていますでしょうか」
その後、丁寧にやり取りをして、電話を切るときには
「お忙しいところありがとうございました。失礼いたします」
といって、相手が切るのを待ってから、こちらも電話を切ります。多くの場合、こういった電話での問い合わせをして、面接に来てください、や、条件が合わないので、今回はご縁がなかったという判断をしていただきます。
面接や見学に来てください、と言われた場合には、
「〇月〇日〇曜日、〇時に面接(見学)に伺います」
と必ず復唱して確認するようにしましょう。それでは、いよいよ、面接にむけて準備をしていきましょう。
※歯科転職ナビを利用した場合は、歯科医院への求人有無の確認、細かい採用条件・勤務体系等の問い合わせ・事前交渉、面接していただけるかどうか、面接日の設定などは全て歯科転職ナビのコーディネーターが行います。
求職中の歯科衛生士さんは、すべての段取りが組まれたうえで、面接へとお進みいただくことができます。
会ったときの第一印象は、なんといっても身だしなみ!
面接にそぐわない、カジュアルな服装。かなり派手なネイル、金髪。濃いメイク。これでは、せっかく面接に行っても、合格をいただく確率は相当低くなってしまいます。面接には面接にふさわしい服装・メイク・ヘアスタイル・をしていくことが、第一段階としてとても大切です。
服装
- 黒・紺・グレー等のスーツ。持っていなければ、落ち着いた色のジャケットに膝丈のシンプルなスカートや、パンツを合わせたものでも良いと思います。※デニム地のものや、ミニスカート、半端な丈のパンツは避けましょう。※特に新卒の場合はリクルートスーツであるほうが好ましいと考えられます。
- インナーは白のワイシャツ等の清楚なもの。
- ストッキングは肌色、冬季は黒でもいいかと思いますが、柄のついたものは避けましょう。
- 靴はシンプルなパンプス。黒が無難です。サンダルやミュールはもちろんNGで、かかとの音が響くのでバックストラップのパンプスも避けたほうがいいでしょう。
- 大ぶりのアクセサリーも面接には好ましいとは言えません。
- バッグは、持っていく書類や、歯科医院側からいただく書類がきちんと入るサイズで、なおかつ、上記の服装にあったシンプルなバッグがいいでしょう。
メイク
メイクは、きちんとしましょう。ノーメイクで行くのは却って失礼にあたります。ナチュラルメイクを心がけ、派手なラメベースのアイメイクや、大ぶりのつけまつげ等は避けたほうがいいでしょう。濃すぎるリップもあまり印象がよくありません。
ヘアスタイル
- 髪の色は、金髪に近い色などは絶対にやめましょう。面接にふさわしいのは、自然な黒髪~暗めの茶色の髪ぐらいと考え、明るい色の髪をしている場合には、美容院等で染め直してから面接に臨んだほうがいいでしょう。
- 美容院で「面接に行くので、明るくならないようにしてほしい」と伝えれば、協力してくれると思います。一般的には、男性・女性ともに、面接にふさわしい髪の色は8レベル以下といわれています。
- 髪の毛が肩にかかる人は、束ねていくのが理想的です。後ろで一つに結ぶなどして、すっきりとまとめ、清潔感を出しましょう。
- 肩にかからない程度の長さの場合は、耳が隠れていないほうが、明るい印象になります。
- 前髪は、長すぎて目が隠れてしまうと、暗い印象になりかねません。目にかからない程度に切りそろえるか、ヘアピンを使ってサイドに流すなどして、顔が隠れないようにしていきましょう。
面接に行くときの持ち物は・・・
- 履歴書
→剝き出しではなく、封筒やクリアファイルに入れて持っていきましょう。 - 経歴書
→必須ではありませんが、経験者の方の場合は、あったほうが伝わりやすく、印象がいいです。 - 歯科衛生士免許のコピー(新卒の就職活動の場合は無し)
→歯科衛生士の資格をもっている証として、提示しましょう。歯科医院によっては、原本を持ってくるように指示される場合があります。 - 歯科医院までの地図や、スマートフォンでの地図アプリの用意
→迷わずに行けるようあらかじめチェックしておき、すぐに出せるようにしておきましょう。 - 筆記用具
- その他
見学がある場合には、白衣があると良いと思います。ただし、制服貸与の医院も多く、白衣を持っていない方もいらっしゃると思いますので、その際は、わざわざ購入する必要はないでしょう。
その場合、事前に「白衣を持っていないのですが、見学の際はスーツのままでいいでしょうか?」と伺いをたてておくと、そのままでいいのか、白衣を貸してくださるのか、指示をしていただくことができ、当日慌てずスムーズに対応できます。
万が一遅刻しそうになった場合・・・
面接が決まったら、必ず、歯科医院まではどういった道順でいくのか、どれくらいかかるのか、交通手段(車・電車・自転車・徒歩)に合わせて確認しておきましょう。
時間には余裕を持ち、歯科医院には、面接の10分~5分に到着するように計算し、さらに、渋滞に巻き込まれることや、電車の遅延などを考慮して、30分は余裕をみておくと理想的です。
とはいえ、準備しておいた上で、当日突然のハプニングや、電車が動かないことなどが発生してしまうことがあると思います。面接当日、絶対にしてはいけないのが連絡無しでのドタキャン、連絡無しでの遅刻です。遅刻はあってなはならないことですが、どうしても遅刻してしまうときは、分かった時点ですぐに歯科医院に連絡をいれましょう。
また、電話の際には、必ず自分の名前・何時から面接をしていただくのか、そして、必ず丁寧に真摯な謝罪を伝えることが大事です。
いよいよ面接・・・
まずは、笑顔で落ち着いて面接できるように心がけましょう。面接は大変緊張するものだと思いますが、顔をこわばらせたままだと、恐い顔になったり、暗い印象になってしまいます。心配な方は、家の鏡の前で笑顔でのあいさつの練習をしておくといいでしょう。
面接をしていただく際、基本的な姿勢は・・・
- 笑顔で相手の目を見て話す、聞く。
- 早口にならず、相手に聞こえるように、ハキハキと話す。
- 背中を丸めず、膝をそろえて、背筋を伸ばして座る。
- 挨拶やお礼の際は、きちんと会釈し、相手に誠意を伝える。
こういった点などを気を付けておくと、採用してくださる方にいい印象を与えることができます。そして、落ち着いて面接できるようにするためには、聞かれるであろうことを想定し、あらかじめ、どのように答えるのかを考えておきましょう。
① 自己紹介
まずは、自己紹介から入ります。
このように、丁寧にあいさつをしましょう。
また、大事なことですが、椅子に座るときは、「どうぞ」と面接の方に声をかけていただいて、更に面接の方が座ったのを確認から、自分も座るようにしましょう。決して、勝手に座らないようにしましょう。
面接前に、別室や面接の場所で待つ場合には、座って待っていてもいいですが、面接の方やそのほかの歯科医院の方が入ってきたら、起立して、ご挨拶しましょう。
② 医院側からの質問
挨拶が終わったら、経歴や、こちらの医院への志望動機、また、そのほか、歯科衛生士になった理由等を聞かれます。必ず答えらえるように練習しておきましょう。
経歴
新卒の方は、聞かれることがないとは思いますが、別の職種でお仕事をしていて、改めて歯科衛生士の資格を取得された方は、前職の話をしてもいいかと思います。技術はなくても、社会人としての経験があれば、それも採用の判断材料になります。
一般的に歯科医院での面接の場合、履歴書・経歴書にそって、これまでどんな業務に携わってきたのかを確認されます。インプラント、訪問診療、予防診療、矯正歯科、小児歯科、口腔外科等の診療科目はもちろんのこと、担当制だったかどうか、患者層や、1日の来院数、保険診療メインであったのか、自費診療のみだったのか、等具体的に話せるようにしましょう。
その中でも、面接を受ける歯科医院に生かせそうな経験・経歴は、わかりやすくアピールできると、採用する側の方に興味を持っていただけると思います。経歴を聞かれるときには必ず、退職理由も聞かれます。採用する側にとって、「退職した経歴がある」というのは、どうしてもプラスのイメージになりにくいものです。
ざっくばらんに話してほしいというような院長先生もいらっしゃいますが、退職理由は、なるべく少しでもマイナスのイメージを払拭できるような、受け答えをすることが、採用への近道になります。
例えば、給与が低い、昇給がない等の金額的な内容であれば、それだけを伝えてしまうと、お金のことにばかり気がいく人、という印象になりかねません。
例えば・・・
など、前向きな姿勢に代えられるような退職理由を伝えられるようにすると、いいかと思います。
志望動機
こちらの歯科医院を希望した理由は、ほぼ100%と言っていいほど聞かれます。単純に「給与が高かったから」「勤務時間が短いから」「休みが多いから」といった自分にとっての単純なメリットだけを伝えても、面接する側には好印象をもっていただくことはできません。
先ほど述べた経歴と合わせ、これまでの経験が生かせそうで、この技術をもっと学びたいと思った、など、学ぶ意欲・働く意欲が感じられるような受け答えをすることで、相手に良い印象をもってもらうことができます。また、ホームページをみた印象を話してもいいかもしれません。
院長先生の挨拶や、先輩歯科衛生士さんのお話が載っていることも多いので、そこをしっかりと読み込んでいき、「御院のアットホームなところや、患者さんのためになる歯科業務をしていきたいと思いました」などと伝えると、好印象が残ると思います。
③ 採用条件等の確認
一通り、ご自身への質問がすんだときには、6~7割程度の採用担当者の方は、とりあえず印象面でのあなたへの合否を大まかに決めています。ここまでの受け答え、姿勢、対応がきちんとできていれば採用への道は開かれていると思います。そのうえで、歯科医院との条件が合えば、比較的採用されやすいでしょう。
採用条件は
- 勤務時間、曜日
- 給与条件(昇給・賞与の有無等)
- 試用期間内の給与変動の有無
- 社会保険についての提示
- その他有給休暇や、福利厚生などの詳細
こういった内容が話されると思います。しっかりとメモを取り、わからないことはその場で聞くようにしましょう。
また、小さなお子さんがいるママ歯科衛生士さんの場合は特に、勤務時間、曜日、休まなくてはならなくなった場合の対応など、しっかりとここで確認しておき、こちら側の勤務できる条件を必ず伝えておくことが、後々のトラブルを防止します。
できれば、聞きたい内容を事前にメモにしておくといいでしょう。
④ その他
最後に質問がありますか?と聞かれることがあります。質問はできれば用意しておいたほうがいいですが、もしもここまでの時間ですべて質問をしてしまっていたら、
「もしも御院に採用していただいた場合は、一生懸命、長く働かせていただきたいと思っています」という内容を伝えられるといいと思います。
歯科衛生士は、もちろん長く働く人もいますが、離職率が比較的高い職種と言えます。その中で「長く働いて、御院に貢献したい」という気持ちを伝えることで、あなたのやる気を伝えることができると思います。
面接が終わったら・・・
慌てずにきちんと書類をすべてバッグの中にしまい、立ち上がって「本日は、お忙しいところお時間をとっていただき、ありがとうございました」と言って、頭を下げて御礼を伝えましょう。
また、面接をしていただく中で、あなたご自身が、この歯科医院で働くのは難しいと考えることもあるかもしれません。その場合でも、その場で表情に出さず、面接していただいたことに対してきちんとお礼を述べて、そのうえで、おそらく後日電話等で歯科医院側から面接の合否を伝えられると思いますが、その際にお断りするほうが失礼ではないでしょう。
以上、面接について、お伝えさせていただきました。
歯科転職ナビは、歯の健康を守る歯科衛生士さんにとって、最高の職場で勤務できるよう、お手伝いさせていただきたいと考えております。