歯科衛生士の皆さん、いつも歯の健康を守っていただきありがとうございます。この日本は今、超高齢化社会といわれる時代を迎えつつあります。その日本において、私たちの健康を守るため、歯科衛生士さんのお仕事は、非常に重要な役割を担っていただいています。
また、近年は美容意識も高まり、そのためにホワイトニングや矯正、インプラントなどへの関心も強くなってきており、歯科衛生士さんの需要はますます高まっているといえるでしょう。
今回は、これから歯科衛生士を目指そうとする皆さんへ、歯科衛生士の仕事の重要性、そして、歯科衛生士を目指すにあたり適性や必要な能力、取り巻く環境、待遇等をお伝えしたいと思います。
歯科衛生士の重要性
では、具体的にどのように歯科衛生士の需要が高まっているのか、その理由を下記に述べていきます。
お口の中の健康が命を守る
歯科衛生士さんは、患者さんのお口の中の健康を直接サポートするお仕事です。歯周病やむし歯の予防、歯をきれいにするための歯石や歯垢除去、また、自宅でできる歯磨きの指導等が歯科衛生士さんの主な仕事です。先に述べたように、日本が少子高齢化社会を超えた、超高齢化社会を迎えていくにあたり、これからの歯科衛生士さんの役割は非常に大切です。若い人でもむし歯や歯周病など、お口の中の健康が損なわれると、食事を満足にとることができなくなります。
ましてや、高齢者の方はただでさえ若いころに比べて、体力が衰えている状態の中、食事がとれなくなれば、それだけ、体力や体の健康は失われ、病気になったときには、回復力もさらに衰えるため元気がなくなり、結果的に命の危険にさらされてしまいます。高齢になればなるほど、寝たきりになってしまう方も増えていきます。そうなると、自分自身では歯磨きができない、もちろん、歯医者に通うことも困難です。そのため、今の日本では、訪問歯科診療を行う歯科医院が急速に増加していっています。
自分では、満足にケアすることができない歯の健康を、歯科医師、歯科衛生士が介護施設や、病院、個人宅へと直接訪問し、歯磨きや、治療やむし歯予防等の口腔ケアを行います。そうすることで、お口の中の健康が保たれ、食事ができることにより十分な栄養を取ることができ、結果的に、全身疾患の回復へとつながっていきます。この訪問診療による口腔ケアがいかに大切か、今後さらに社会的にも認識されていくことと思います。
その時に欠かせないのが、もちろん歯科衛生士の皆さんです。
今や、歯科衛生士の業務は、歯科医師の補助という枠を超え、直接患者さんにかかわることも多くなり、病気をされている方や、高齢者の方の命を守り、また、介護をされているご家族等の負担を減らすことにも大きく貢献されているのです。
それほど、歯科衛生士さんは今後の日本において、欠かせない大切なお仕事をされていると、誇りをもてるお仕事だと思います。
美容意識の高まり
近年、歯科医療には上記のような口腔の健康だけではなく、見た目の美しさを求める、「美容歯科」「審美歯科」も大きな関心を集めています。
具体的には、
- 歯の白さを求めるホワイトニング
- 歯並びをきれいにする矯正歯科
- 歯の形をきれいにするセラミッククラウン
など、年々進化し続けている最新の歯科技術を駆使しながら、芸能人等の人前に出る職業の人だけではなく、一般の方も歯のきれいさを求める時代となりました。もちろん、保険診療ではなく自由診療ですが、美容院に通ったり、エステに通ったりするのと同じような感覚で、美容歯科にも関心を持ちやすい環境にかっているといえるでしょう。
そのため、患者と歯科医師・歯科衛生士という関係性だけではなく、お客様としてお迎えし歯科医院内も、ラグジュアリーな雰囲気にして、心身ともにリラックスでき、きれいになって帰っていただく、そのようなデンタルクリニックも多くなってきています。
こういった「美容歯科」「審美歯科」に勤める歯科衛生士さんには、より専門性の高い技術はもちろんのこと、身だしなみを整えることや、コミュニケーション能力を高めることなど、接客技術を磨いていくことにも力を入れられています。
歯科衛生士業務の適性・必要な能力
歯科衛生士は、ご存知の通り国家試験を受験し、合格して資格を取得できる国家資格です。一生仕事をしていきたいと考える人にとって、専門性が高く、手に職をつける、といった点で非常に魅力的な資格といえます。
また、上記に述べた二つの理由により、将来性も大きく見込めます。さらに、歯科衛生士の9割以上が女性なので、これからの社会で、女性がさらに活躍していける、とても働きやすい資格だと考えられます。
では、具体的にはどういった適正や能力が必要なのか述べていきたいと思います。
歯科衛生士に向いている人の適性は?
①手先が器用な人
歯科医療というのは、当然ながら他人の口の中を治療していくわけですので、雑で不器用な扱いをすることはできません。多少不器用なだけであれば、練習等で克服していくことができると思いますが、細かい作業が一切苦手という人には難しいと思います。また、患者さんの大切なお口の中をきれいにする、そのために丁寧に触れようという意識をしっかり持てる人でないと向いているとは言えないでしょう。
②コミュニケーション能力の高い人
歯科医院に訪れる人は、患者さんと歯科衛生士さんという関係性です。患者さんは、自分の歯やお口の中がどのようになっていて、どれくらいの期間で、どのように治療していけばいいのか、普段気を付けることはどんなことなのか等、とても不安を抱えて通院していることでしょう。
その時に、その患者さんの不安をしっかりと感じ取り、丁寧に接し、わかりやすく説明し、お口の中のケアだけではなく、心のケアもしてあげることができるかどうか、それが非常に重要でしょう。いくら、技術が高くても、自分の不安を解消してくれない歯科医院には、患者さんは通院したいと考えないと思います。
なので、笑顔で、丁寧に、わかりやすく、時に「歯医者さんが苦手」という方にには、緊張をほぐしてあげられるような高い会話力・コミュニケーション能力が求められます。患者さんは、赤ちゃんのような小さいお子さんから、高齢の方まで、年齢や性別も様々です。その患者さん一人一人に合わせて接することが大切です。
そして、これは社会人として当たり前の事ではありますが、一人で仕事をしているわけではないので、歯科医院のスタッフ同士のコミュニケーションの取り方も、とても大事です。患者さんの健康を担うお仕事ですから、より丁寧に必要なことが必ず伝わるようにスタッフ同士の信頼関係も築いくことも重要です。
また、患者さんに不信感・不安感を持たれないようにするためには、清潔感があるかどうか、見た目も含めて、気を配っていく必要があります。清潔さに常に敏感でいられることが、患者さんからの信頼をいただく要素の1つともいえるでしょう。
歯科衛生士の取り巻く環境・待遇等
歯科衛生士さんの国家試験の合格率は約95%と非常に高い合格率になっています。そのため、医療の現場で働きたい、専門性の高い職業に就きたい、といった人が受験することが多いでしょう。(但し、受験するためには、国の指定した専門学校・短大・大学等を卒業することが条件となっています。)
① 結婚後も働きやすい
歯科衛生士さんに女性が多いことの理由の一つに、結婚したあとも家庭や子育てと両立しやすい、という理由があります。歯科衛生士の求人をみてみると、常勤勤務だけでなく、パートなどの非常勤勤務の募集も多く出ています。歯科医院の増加及び、上記に述べた理由による歯科衛生士の需要の高まりに伴い、短時間でも勤務してほしいという歯科医院側の希望があります。
そのため、平日のみ、午前中のみ、午後のみ、夕方までの勤務を希望、扶養範囲内での勤務のみ等、様々な勤務体系を選びやすい環境にあります。実際に結婚して出産後に歯科衛生士に復帰しているママ歯科衛生士さんも多くいらっしゃいます。
子育ての状況に合わせ、まずは短時間のパート勤務から始まり、子供が大きくなるにつれ、フルタイム勤務へ戻るといった働き方ができるのも、歯科衛生士の魅力の一つです。
②給与・待遇等について
歯科衛生士の給与・待遇については、正直なところ、高収入・好待遇とは言えないのが現状ではあります。もちろん、勤務先の規模・経験年数・地域差は大きくあるので、一概には言えませんが、平均的な年収としては常勤勤務だった場合で、だいたい300万~400万程度といえるでしょう。
ただし、パート勤務の場合は、専門職ですので、地域によっては時給が1300円~2000円程度まであがるところもあり、決して低所得というわけではないと思われます。また、福利厚生としては一番重要な社会保険ですが、医療法人となっている場合や、常勤が5名以上勤務している医院については、必ず社会保険が義務付けられているので加入することができますが、その他の場合(個人医院などの小規模医院が多い)は、加入保険をしっかり確認することが、待遇面では重要となってきます。
ただ、先に述べたように、結婚後も勤務をする方も多くいらっしゃるので、配偶者の扶養になっている場合は、社会保険についてはそれほど気になるものではないかと思います。最近目立つ待遇としては、インフルエンザ等の予防接種が福利厚生として受けられるところも多くあります。その他の福利厚生については、残念ながら、一般企業と比べると充実しているとは言えない歯科医院も多いのが現実です。いわゆる、大きな医療法人でない限り、小規模企業と同等と考えてください。
まとめ
歯科衛生士さんの重要性、働く環境について書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
これから働こうという人にとって、働く環境の選択肢多くあるお仕事で、将来性が大きく拓かれている職業だと言えると思います。何よりも「人のために働きたい」「患者さんの健康を守る仕事をしたい」と考えている方には、ぴったりの職業ではないでしょうか。
ぜひ、笑顔で「ありがとう」と言っていただけるこの歯科衛生士の職を目指していただきたいと思います。
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