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週休3日の歯科医院を選べる時代が到来!?週休3日取得できる歯科医院の特徴

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「お休みが少ないのでは?」
「急患の受け入れで残業が多そう」
「あれもこれも業務を任されて、てんてこ舞いになりそう」

これまで、歯科衛生士をはじめとする歯科助手・受付など、歯科医院で働くスタッフの就労環境といえば、ネガティブなイメージが強いものでした。しかしここ数年の間に「週休3日制」「年間休日150日」などゆとりを持って働ける募集内容が目立つようになり、大きな変化を見せています。

この記事では、週休3日取得できる歯科医院の特徴を紹介していきます。

大きな変化を見せる歯科業界

歯科をはじめとする医療業界全体を見ても、まだまだお休みが多い業界とはいえない現状があります。医療・福祉関係の1企業あたりにおける年間休日数は、平均109.4日(平成 30年就労条件総合調査より:厚生労働省)と報告されています。例えば完全週休2日制で祝日がすべてお休みの場合、年間休日が120日になります。つまり年間の休日数109.4日という数字は、決してゆとりを持って休めているとはいえない状況を表しています。

しかし、ここ数年の間に、歯科業界は大きな変化をみせています。歯科医院の求人募集にも、「週休3日制」「年間休日150日」「残業なし」「有給休暇の消化率100%」といった、ゆとりを持って働ける募集内容が目立つようになってきました。これは、歯科衛生士をはじめとする歯科に携わるスタッフの勤務環境が見直されはじめ、働きやすい環境づくりに力を入れているということと、捉えられます。

かつて歯科医院に正社員として勤務した場合は、歯科医院の休診日以外はフルタイムで出勤するのが当たり前でした。そのため、お子さんを出産したら退職を余儀なくされ、パートやアルバイトとして勤務時間を短縮して働く道しかありませんでした。平成21年の育児・介護休業法の改正により、正社員も短時間勤務が可能になったことから時代は徐々に変化し、ようやく現場レベルで「時短勤務」が当たり前のこととして浸透するようになりました。

平成29年3月の育児・介護休業法の改正では、パパ・ママともに育児休暇が取れるように変わりましたので、これが実際の働き現場に浸透するのももうすぐでしょう。制度だけあるものの、周りのスタッフに遠慮して実際は休暇を取得しにくい、ということがなくなる時代がやってくるのも、時間の問題といえそうです。

なぜ?週休3日制の歯科医院が増えている理由

そして今、スタッフが週3日のお休みをとれる歯科医院が増えています。この背景には、歯科業界において、歯科衛生士をはじめ歯科に携わるスタッフの勤務内容への理解が深まったことが大きいといえます。かつての歯科医院は、痛くなった歯を削ったり抜いたりすることに重きを置いた、悪くなった歯を治療するための場所でした。

しかし、現在では歯科医院への考え方が様変わりし、歯が痛くなる前にお口の中の疾患を未然に防ぐ「予防歯科」が中心になってきています。予防歯科の先進国スウェーデンでの成果に倣い、今ではあらゆる診療科目の中でも、「予防歯科」に力を入れる歯科医院が増えてきていることが大きいといえます。

スウェーデンでは20年以上も前から、さまざまな予防に対する取り組みをおこなってきましたが、その結果として、80歳代で平均21.1本もの天然の歯が残っているという報告がされています。日本では、年々数値がよくなってきているとはいえ、同じ80歳代では13本という結果です(平成29年度歯科医疾患実態調査:厚生労働省より)。

天然の歯が残っていると、おいしく食事を楽しめるので、高齢になった時の生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)に差が出てきます。末永く幸福感を味わって暮らしていくためには「予防歯科の受診が欠かせない」という歯科の考え方が根付いたことにより、今では歯科衛生士の力を必要とする歯科医院がどんどん増えているのです。

「歯科衛生士が歯科の主役です」とアピールする歯科医院も増えてきている状況で、診療のケースによっては、患者さんは歯科医師に面会することさえなく、歯科衛生士と歯科スタッフによる処置を受けるために通院することも、もはや一般的に行われています。

今やコンビニエンスストアよりも多いといわれる歯科医院。歯科医院にとっても厳しい時代のなか、順調に経営を続けていくためには、歯科衛生士や歯科スタッフにいかに活躍してもらえるかが鍵になっているといっても過言ではありません。歯科医院としては、スタッフが働きやすい勤務環境を用意することで、実力のあるスタッフを確保したいという想いが強いのです。

経験を積んで一人前になり、周りからも頼りにされるようになった歯科衛生士を、結婚・子育て・介護といったライフスタイルの変化によって退職しざるを得ないという状況に追い込まず、末永く勤務してもらいたいと考えているのです。また予防歯科は、さまざまな処置に関する技術力も大切ですが、求められるのはそれだけではありません。患者さんとのコミュニケーションやカウンセリングといった、「人間力」が活かされる業務も、歯科衛生士や歯科スタッフに期待されています。

基本的に、歯医者に通うのが好きという患者さんはほとんど居ません。歯が痛くなったから仕方なく歯科医院に行く、という方が多いものです。歯が悪くないのに予防のために通おうというのは、意識の高い優れたデンタルIQの方々に限られます。

これからの歯科医院は、患者さんのモチベーションをアップし、通院したい、予防したい、という気持ちにさせることも使命のひとつといえます。それは、直接患者さんと接する歯科衛生士やスタッフの対応次第である部分も多く、スタッフのスキルに左右される部分。即戦力となる優れた人材を逃したくないというのが、歯科医院としての想いです。

週休3日制の歯科医院が増えたことには、そんな歯科業界全体をとりまく流れから歯科衛生士や歯科スタッフの仕事への理解が深まり、影響力が重要視されるようになったからという背景があります。

歯科衛生士が自分の実力にあった職場を選択できる状況が生じつつあるということ、努力次第で、レベルの高い職場に勤務することも可能になってきつつあること…そんな報告が、日本歯科衛生士会歯科衛生士による「勤務実態調査報告書:平成27年3月版」でもおこなわれています。歯科衛生士が、自分の実力に合わせて勤務条件のよい職場を選べる時代が到来したのです。

週休3日で勤務環境の良い歯科医院を選ぶコツ

週休3日制を採り入れているといっても、歯科医院によっては5日かけて働く分を4日に集約しただけで、1日の就業時間が長くなってしまうという問題が起こる場合もあります。例えば、朝9時に出勤して、夜21時に退社するという、10時間勤務を週4日間も続けていては、いくら3日間のお休みがあっても疲れ果ててしまうしょう。

しかし、スタッフの人数が限られている場合は、誰かが出勤しなければ歯科医院が回りませんから、どうしようもありません。ということは、つまり、スタッフの人数に余裕があり、シフト制でお休みをきちんと決めているところを選ぶと、こうした問題を回避できるのではないでしょうか。

また、歯科衛生士や歯科スタッフが中心となって活躍できる業務が多い歯科医院の場合は、スタッフが働きやすい勤務環境を用意しているところが多いといえます。簡単に言えば、予防歯科でおこなうメインテナンスやクリーニングなどの処置を診療のメインとしている歯科医院です。

予防処置の経験を積めば、歯科衛生士が自分で患者さんの診療計画を立てられます。そうすると各自のスケジュールに合わせて患者さんの予約を入れることができるため、比較的お休みを取りやすくなるでしょう。

どんな歯科医院が週休3日制なの?

実際に、どんな歯科医院が週休3日制でスタッフの募集をおこなっているのでしょう?具体的なイメージをつかんでいただくために、実在する求人募集をベースにした具体例をご紹介します。任される業務の内容や難易度、職場の雰囲気などを想像してみると、自分に合っている歯科医院がどんなスタイルなのかが見えてくると思います。ただし実在する募集に即した架空の医院になりますので、実際の募集は求人情報をご確認ください。

歯科医院:都心部のオフィス街にある大型クリニック

関西中心部のオフィス街にあり、患者さんのメイン層は企業で働くビジネスマン。営業や接客のために、身だしなみとしてホワイトニングや矯正といった歯のお手入れを重視する人が大勢いらっしゃいます。ただし、オフィス街にあるので、当然のことながら仕事帰りの遅い時間に通院される患者さんが多くを占めています。そのため就業時間は22:00と、かなり遅めです。

そのため歯科衛生士やスタッフの勤務スタイルは、夜の勤務を中心としたシフト制です。週休3日制なのでお休み自体は多いですが、夜はあまり早く帰れません。そのかわり、残業はなく、お昼からの出勤も多いです。

歯科衛生士に任される業務内容は、予防・メインテナンスが中心です。衛生士専用の診療チェアがあり、患者さまを担当制で診ていきます。コミュニケーションを大切にしながら一人の患者さんの経過を長く診ていくため、成果を確認しながら進めることができて、やりがいがあります。衛生士としてのスキルを磨くことができます。

歯科医院:大規模チェーン展開している医療法人

首都圏のほぼ山手線エリア内に10医院を展開する大規模歯科チェーン。歯科医師・歯科衛生士・歯科助手など、スタッフの人数が膨大です。このたび新しく2医院を展開するので、新規スタッフの募集です。一般歯科・小児歯科・美容診療・自由診療まで、あらゆる分野の治療を専門とする歯科医師が多数在籍しているので、衛生士や助手に任される仕事も多岐にわたります。

美容診療に特化した歯科医院やお子さんの治療や矯正が中心といった医院など、それぞれの医院の特色があるので、やりたい業務や目指したいキャリアに合わせて勤務する医院を希望することができます。スタッフが働きやすいと思える環境で、経験を積んでもらって各医院で長く活躍してほしいと考える医院なので、週休3日制などのお休みをはじめとする勤務条件は良いものを揃えています。

医院がたくさんある分、多くのスタッフが在籍していますし、それぞれの所在地も近いので、他医院で教育を受けたり、教育しに行ったりという、一つの医院に限らず、複数の医院にいくことが必要なので、そういったフレキシブルさは必要ですが、その分、お休みはしっかりとれるようになっています。

歯科医院:最新技術を採用した女性向け審美クリニック

海外での留学経験が長い院長が、最新技術と最新機器を導入してオープンした審美クリニックです。院内は、まるでエステサロンのように優雅な雰囲気。歯科衛生士をはじめスタッフも、メイクをしっかりしたり、髪型をアップに整えたりと、身だしなみにもこだわりが必要とされます。

歯科衛生士は、外科手術を伴う矯正やインプラントなどの臨床に対応できる力を求められます。常に最新機器や新しい歯科材料を採用されるので、勉強し続けなければなりませんし、技術面での成長も期待されます。

そのために研修やセミナーへの参加も欠かせません。勉強にかかる費用は医院が負担してくれますし、休日出勤などの手当もつきますが、常に向上心をもってキャリアアップを目指したい方に向いている環境です。そのため週休3日制という、ゆとりをもった勤務時間の設定になっています。

歯科医院:地方都市にある訪問歯科に力を入れている医院

地域にお住まいの方が患者さんとして来院されるのですが、インプラントなどの外科手術を伴うような大掛かりな治療は大学病院を紹介するので、普段の業務は一般治療と定期検診・予防が中心です。院長が地域医療への貢献に熱心なため、訪問診療に力を入れています。主に、近隣の介護施設や総合病院の入院患者への訪問診療をおこない、週に1回は、一般のご家庭へ訪問して診療しています。

歯科衛生士は、訪問診療でも、歯科医院での診療でも、どちらでも自由に希望できるのですが、訪問診療を中心に勤務する場合は、週休3日はもちろん、もっと少ない勤務日時でも歓迎されます。移動が多くて敷居が高いイメージもある訪問診療ですが、これからの社会でさらに必要とされる診療科目です。働きやすい勤務条件の上に、貴重な経験を積めるのは、とても良い機会といえそうです。

まとめ

いかがでしょうか?実際に、週休3日という好条件で勤務する歯科衛生士や歯科スタッフの勤務環境がイメージできましたでしょうか?歯科医院の立場からみれば、経験を積んで技術を磨いたスタッフが、お休みが少ないために退職してしまうのは辛いことです。

スタッフの力があってこそと考える歯科医院は将来を見据え、いち早く働きやすい勤務条件を整え、スタッフが末永く勤務できるように環境の整備を図っています。同じ職種でも、任される業務内容は医院によって特色がありますし、レベルの高い人材を求めている意識の高い医院だからこそ、週休3日制といった好条件を用意しているといったケースもあります。

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【著者:ナチュラル・ハーモニー】

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