働く環境

歯科衛生士は賠償責任保険に加入すべき?その意味や加入率、歯科医院の補助について

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歯科衛生士の求人を見ていると「歯科衛生士賠償責任保険」や「賠償責任保険」といった文言が書かれているのを目にすることがないでしょうか?

しかし、「賠償保険というと何か事故があったときに保障してくれるものだよな…でも、実際にどういうものなのか分からないし、入っているメリットなんだろう?」と疑問に思うのではないでしょうか。

この記事では、歯科衛生士が転職するときに知っておきたい賠償責任保険について解説します。転職活動であまり知ることのない内容ですので、この機会に是非とも勉強してくださいね!

賠償責任保険とは

賠償責任保険とは、歯科衛生士が訴えられたときに支払う賠償金を代わりに払ってくれる保険のことです。

歯科衛生士として働いていると、患者さんと関わる中で傷つけてしまったり持ち物を壊してしまったりすることがゼロではありません。歯科診療のなかで口腔内を傷つけてしまうといった診療に関する内容はもちろん、患者さんの荷物を落としてしまって破損させてしまったり、患者情報の情報を漏洩してしまうことが可能性としてあります。

もちろん、常にこのような事故や事件があるわけではないのですが、患者さんと対面で関わる職種であるために可能性がゼロではありませんよね。万が一そのような事態に見舞われたときに訴えられてしまったら、多額の賠償金を支払う必要があります。

賠償責任保険に加入しておけば、発生した賠償金を代わりに払ってくれるのです。

歯科衛生士に関わる情報漏洩について

患者さんにケガをさせてしまったり、患者さんの持ち物を破損してしまったり…患者さんに直接関係するトラブルは実際に働いている歯科衛生士であればイメージできるのではないでしょうか。

一方、情報漏洩は「そんなこと自分には関係ないでしょ」と思う方もいるのではないでしょうか?そんなことはありません。歯科衛生士が情報漏洩に関わるケースは少なくありません。例えば、下記のようなケースはどの歯科衛生士にも起こりえるのではないでしょうか?

①個人情報を記載してもらった問診表を待合室に置き忘れてしまう

よくニュースで「個人情報が流出しました」という報道がされるとき、個人情報の詰まったUSBメモリを持ち歩いていますよね。歯科衛生士がそのような情報管理をすることは滅多にないために情報漏洩とは縁遠い気がするものですが、このようなケースから情報が流出することもあるのです。

②パソコンの誤操作により患者さんに情報が送られる

多くの歯科衛生士はパソコンを用いて患者さんとやりとりを行ったり、情報を参照したり、予約管理を行ったりするものですよね。あなたが歯科衛生士として使っているパソコンがきっかけで、患者さんの情報が別の患者さんに送られてしまったり、情報が見れるようになってしまうことも情報漏洩のリスクなのです。

③不正アクセスや不正な持ち出し

もちろん、うっかりミスだけが情報漏洩に繋がるわけではありません。あなたがどれだけ厳格な情報管理を行っていても、故意に不正アクセスされたり、内部からの不正な情報持ち出しをされてしまった場合には防ぐことが難しいものです。故意にこれらを行う人たちは足がつかないように巧妙に行うこともあるため、あなたに関係がなくてもあなたのせいにされることもあるのです。

④バグやウィルス

歯科医院で使っているパソコンではセキュリティ対策がしっかりとしていることがほとんどですが、バグやウィルスが情報漏洩に繋がる可能性も否定できません。これが偶然にあなたがパソコン操作中に生じてしまうと、あなたに責任があるように思われてしまうかもしれません。

このように、情報漏洩とは歯科衛生士として普通に働いているとあり得ないように感じるかもしれませんが、実は身近に起こりえることなのです。実際、このようなトラブルに巻き込まれたときには、「自分にはありえないと思っていた」とみんなが口をそろえて言うものです。

歯科衛生士の賠償責任保険への加入

ここまで読んだ方にとっては、賠償責任を問われる可能性が歯科衛生士もゼロではないことが理解できたかと思います。

では、実際に賠償責任保険に加入するにはどうすれば良いのでしょうか?

まず、歯科衛生士に特化した賠償保険制度として「歯科衛生士賠償保険制度」というものがあります。これは日本歯科衛生士会に加入している歯科衛生士が利用することのできる保険となっています。年間の保険料は5,000円であるにもかかわらず、対人の事故であれば限度額が1億円という大きさであるのが特徴的です。

しかし、そもそも日本歯科衛生士会に所属する歯科衛生士の数は20%以下であり、所属している歯科衛生士のなかでもこの保険に加入している歯科衛生士は15%程度というデータがあります。日本歯科衛生士会は入会金2,000円、年会費7,000円であるため、歯科衛生士にとってはかなりの負担となるために加入することが難しいことが理由として考えられます。

他にも歯科衛生士が加入できる賠償責任保険は多数あります。運営している会社が異なったり、補償内容や限度額に違いがあるなどそれぞれ特徴がありますので、興味のある方は一度調べてみるのがよいでしょう。

求人票に「賠償責任保険」と記載されている場合には

歯科医院の求人票に「賠償責任保険」と記載されている場合には、加入に対する補助が用意されている場合です。

補助を出している歯科医院はそれほど多くはないものですが、「安心して歯科衛生士として働くためには、やっぱり加入しておかないと…」と考える歯科衛生士にとっては嬉しいものですよね。

ただ、多くの歯科医院ではその補助があるわけではなく、採用しているところはごく少数というのが実情です。やはり、歯科医院としては補助を出すだけ経費がかさむわけですから、その分どこかにしわ寄せが生じてしまうためです。

ちなみに、補助の金額は全額もしくは一部となっており、歯科医院によって異なります。

歯科医院が賠償責任保険を補助する意味

では、歯科医院が歯科衛生士の賠償責任保険の加入を補助する意味は何でしょうか?

理由としては、歯科衛生士に安心の環境で働いて欲しいということがあります。先述したようなリスクを抱えながら歯科衛生士は働くことになりますので、そこから身を守るための一手段として賠償責任保険を導入しています。

何かあったときに、「歯科医院は関係ない、個人が起こしたことだ」というような態度を取る歯科医院もゼロではないので、かなり働く歯科衛生士のことを考えていると思われます。

他にも、賠償責任保険を補助することで歯科衛生士の採用につなげたいと考える歯科医院も導入をしている場合があります。

例えば、「皆勤手当て支給あり」といった内容が求人票に記載されているのを読むと、どのような印象を持ちますか?「あ、この歯科医院は手当がしっかりと出る!」と考えたりするものではないでしょうか?同様に、賠償責任保険を補助することでしっかりとした歯科医院である印象を与えることになり、それが採用に繋がるということもあります。

とくに、賠償責任保険の意味を理解しているようなしっかりとした歯科衛生士の採用を進めたい場合には有効に機能することが考えられます。

補助は負担となる一方で歯科医院にとってもメリットになっていることもあるものです。

安心して働ける歯科医院を見つけるためには

このように考えると、歯科衛生士として安心して働ける歯科医院を見つけることは転職においてとても大切だと分かるのではないでしょうか。

しかし、実際に転職活動を行ってみても、安心して働くことができる歯科医院かどうか判断することは難しいものです。

・ホームページ

・求人票

・見学

・評判

これらを使って情報収集をするものですが、どれも歯科医院の実態をそこまで理解することができません。やはり、実際に働いている歯科衛生士さんや事務スタッフの方から話を聞いたり、院長がどのような想いで経営をしているのかを知ったり、求人票には掲載されていない労働環境について知っておく必要がありますよね。

そこで利用することを検討したいのは、転職エージェントです。

これは、転職サポートの専門家で、好条件の職場に転職するためのノウハウ、様々な会社の内部情報、お給料を上げるための交渉術など幅広くサポートしてくれる職種の方々です。一口に転職エージェントといっても様々な職種があるために細分化されており、歯科衛生士に特化した転職エージェントが働くのは「歯科転職ナビ」の転職エージェントです。

歯科転職ナビでは、歯科業界に精通した転職エージェントが多数在籍しており、歯科医院の採用に関する情報はもちろん、歯科医院がどのような雰囲気なのか、どのようなスタッフが働いているのか、どのような患者さんが来ているのか、実際に働いている歯科衛生士の声はどのようなものなのかといった情報を有しています。

もちろん、賠償責任保険に関連して、院長が歯科衛生士をどのように働いて欲しいかという考えについても範疇であり、そのような視点からも転職をサポートしてくれます。

おわりに

この記事では、歯科衛生士が転職するときに知っておきたい賠償責任保険について解説しました。

賠償責任保険に加入していることで日々の歯科診療を安心して行えるようになりますし、万が一のときにも補償があるのはありがたいですよね。転職する歯科医院でも、歯科衛生士を大切に思ってくれると嬉しいですね。

まだまだ歯科衛生士には普及していない賠償責任保険ですが、知っておくことで転職活動を行うヒントになります。これから求人票をみるときにはチェックしてみてくださいね!

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