子育て事情

幼児教育無償化に伴う、変更点や必要書類等

子育て事情

保育施設が無償化になる!

結婚・出産して仕事と子育てとの両立が難しくなり、歯科衛生士としてのキャリアを諦めてしまうのはもったいないことです。最近では、そんなママ歯科衛生士に、「身につけた技術を活かしてできるだけ長く勤務を続けてほしい」と考える歯科医院がグンと増えました。時短勤務といったフレキシブルな勤務スタイルを用意するなど、職場環境も働きやすい状態に変革を遂げていく時期にあります。

そうはいってもお子さんを預けて働くとなると、保育施設に支払う費用は、なかなか大きな家計の負担になります。特に、都心部では幼稚園や認可保育園が不足している現状がありますので、費用の高い認可外の保育施設を利用せざるを得ないケースも多々あります。

そんな中、嬉しいニュースが飛び込んできました。みなさんも既に耳にされているとは思いますが、いよいよ子育て世代を応援する政府の施策として「幼児教育無償化」がスタートします。そういわれると、「保育所が無料になる!?それはすごくお得!」と思いがちですが、すべてが無償化するわけではないので注意が必要です。

無償化になる場合もあれば、一部のみ無償化という場合もあります。制度をパッと見ただけでは詳細が分からないとはいえ、子育て中のご家庭が少しでも出費を抑えられるなら、国民にとって明るい未来につながる嬉しいニュースといえそうです。

無償化について詳しく知るには?

現代社会は夫婦で共働きに出ることが、もはやあたりまえの時代。お子さんを預けて仕事に出掛けるのは、若い夫婦のスタンダードなスタイルです。お子さんを預けるための費用は子育て中のご家庭では必要不可欠な支出とはいえ、決して負担が小さいものではありません。こうした負担が少しでも軽減され、少しでも家計に余裕ができるのは確かなことなので、しっかり確認して受給するようにしてください。

でも、実際にどうすればこの制度の恩恵を受けることができるのか、そもそも自分たちの家庭は対象なのか、「よくわからない」という声は少なくありません。内閣府や厚生労働省の公式ホームページに詳細が掲載されているとはいえ、ふだん見慣れていないページのどこを見ればよいのか、そもそもスマートフォンでは掲載されている資料を確認しづらくて、正直ピンとこないという人がいらっしゃるのも無理はありません。

ここでは「幼児教育無償化に伴う、変更点や必要書類など」について、順を追ってチェックしていきたいと思います。しっかり確認して、受けられる恩恵はどんどん受けましょう。

そもそも、どうして無償化に?

「幼児教育無償化」は、平成29年12月8日に閣議決定された、「新しい経済政策パッケージ」の中の「人づくり改革」のひとつです。新しい経済政策パッケージとは、日本経済を確立させるための特別な施策のこと。

アベノミクス後、現在は成長軌道にあるとされている日本経済を確立させるための鍵として、少子高齢化への対策が重視されています。同時に日本は健康寿命・世界一を誇る長寿社会を迎えており、今後もさらに健康寿命が延びていくと予測されています。まさに、人生100 年時代。長寿社会の到来にあたり、高齢者から若者まで、すべての世代の国民に向けた全世代型の社会保障が、新しい経済政策パッケージではうたわれています。

そのひとつが、「幼児教育無償化」です。

20 代~ 30 代の若い世代が、お子さんを積極的に産まない理由には、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」という理由が最大を占めます。幼児教育無償化で、本当はお子さんを持ちたいけれど、経済的な理由で諦めていたご夫婦の背中を押すきっかけになれば、という目的もあって用意された施策です。

今後の取り組みとしては、0歳~1歳のお子さんがいるご家庭では、ワークライフバランスを確保するため、短時間勤務といったフレキシブルな勤務スタイルに向けた職場環境の整備を進めていきます。職場への復帰ができるルートの確保、女性も男性も育児休業を気兼ねなく取れる環境づくり、育児休業が終わったあとの保育所の確保、病児保育の普及など、企業を含めて環境作りへの取り組みを実施していきます。

無償化がはじまるのはいつから?

2019年10月から、「幼児教育無償化」が全面的にスタートすることが、このほど正式に決定されました。対象は、3歳~5歳のすべての子どもたちです。無償化といっても、無条件で保育施設の利用料すべてが無償になるわけではありません。

世帯主の勤務状況や、無償化の上限が月額2.57万円と決められているなど、さまざまな規定があります。しっかりとチェックして、ぬかりなく手続きをおこないましょう。

無償化の対象となる範囲は?

「幼児教育無償化」は、お子さんがいるご家庭に一律に適用されるものではありません。お子さんの年齢や、世帯主の勤務状況によって、保育施設の利用料や一部補助金の内容について細かく決められているシステムです。対象となるお子さんは、市町村などの自治体から保育の必要があると認定を受けた「3~5歳のお子さん」と、住民税非課税世帯の「0~2歳のお子さん」です。

世帯主の勤務状況によって受けられるサービスが異なりますが、ご家庭の所得に関係なく、3~5歳のすべてのお子さんの幼稚園・保育所、認定こども園の費用が無償化になります。ただし、幼稚園、幼稚園のあずかり保育、認可外保育園に関しては、一部補助となりますのでご注意ください。

さらに注意しなければならないのは、お子さんを預けられる保育施設であったとしても、認可外保育施設として届け出をしていない施設の場合は、無償化の対象にはならないということ。認可外の保育施設を利用される場合は、十分に気を付けてください。

詳しくは、

内閣官房のホームページ「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会 報告書https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mushouka/pdf/h300531_houkoku.pdf)」

を参考に、下記で紹介します。

共働きまたはシングルで働いている家庭の場合

※3~5歳で、保育の必要性が認定されたお子さん

  • 幼稚園、保育所、認可こども園…無償(幼稚園は月2.57万円までが無償の対象)
  • 幼稚園のあずかり保育…幼稚園保育料の無償化 上限額(月2.57万円)を含め、月3.7万円まで無償(要申請)
  • 認可外保育施設(自治体の認証の保育施設など)…月3.7万円まで無償
  • 認可外保育施設+ベビーシッターなど…月3.7万円まで無償
  • 幼稚園・保育所・認定こども園+障害児通園施設‥‥ともに無償(幼稚園は月2.57万円まで)

専業主婦で配偶者がいる世帯の場合

※3~5歳で、保育の必要性を認定されていないお子さん

  • 幼稚園、認可こども園…無償(幼稚園は月2.57万円までが無償の対象)
  • 幼稚園のあずかり保育、認可外保育施設…無償化の対象外
  • 幼稚園・保育所・認定こども園+障害児通園施設‥‥ともに無償(幼稚園は月2.57万円まで)

共働きまたはシングルで働いていて、且つ住民税非課税世帯の場合

※0~2歳で、保育の必要性が認定されたお子さん

  • 幼稚園、保育所、認可こども園…無償(幼稚園は月4.2万円までが無償の対象)
  • 幼稚園のあずかり保育…幼稚園保育料の無償化 月4.2万円まで無償
  • 認可外保育施設(自治体の認証の保育施設など)…月4.2万円まで無償
  • 認可外保育施設+ベビーシッターなど…月4.2万円まで無償
  • 幼稚園・保育所・認定こども園+障害児通園施設‥‥ともに無償(幼稚園は月4.2万円まで)

専業主婦で配偶者がいて、住民税非課税世帯の場合

※0~2歳で、保育の必要性を認定されていないお子さん

  • 幼稚園、認可こども園…無償(幼稚園は月4.2万円までが無償の対象)
  • 幼稚園のあずかり保育、認可外保育施設…無償化の対象外
  • 幼稚園・保育所・認定こども園+障害児通園施設‥‥ともに無償(幼稚園は月4.2万円まで)

保育の必要性の認定とは?

上記で、「保育の必要性が認定されたお子さん」「保育の必要性を認定されていないお子さん」を記載していますが、「幼児教育無償化」の制度を利用するためには、お子さんがご家庭で保育を受けることができない理由…つまり保育施設を利用する必要性を認められなければいけません。

そのためには、以下の項目に該当していなければなりません。確認してみてください。

  • 保護者が1カ月に48時間以上の労働をおこなうことを状態化している場合。
  • 保護者が妊娠中であったり、もしくは出産間もない状態であったりする場合。
  • 保護者が闘病中もしくは負傷中である。または、精神や身体に障がいを有する場合。
  • 同居する親族に、常時介護を必要する場合。または、看護の必要がある場合(長期の入院を含む)。
  • 保護者が震災や風水害、火災などの災害の復旧に当たっている最中の場合。
  • 保護者が求職活動中であったり、起業の準備中であったりと、継続的に求職をおこなっている場合。
  • 保護者が就学中である場合。
  • そのほか、保育が必要な状態であると、お住まいの区の保健福祉センター所長が認める場合。

住民税非課税世帯とは?

市町村民税が非課税である世帯(生活保護を受給中の世帯を含む)の場合、0~2歳のお子さんも「幼児教育無償化」の制度の対象となります。
住民税非課税世帯とは、お子さんと同一世帯の保護者の市町村民税が非課税であることを指します。ただし、これに該当している場合でも、保護者の年収の合計が103万円未満であり、同一世帯に、市町村民税が課税されていて年収300万円を超える祖父母などが同居している場合は、市町村民税非課税世帯には該当しません。
また、保護者が里親であったり、背うかつ保護法第6条に該当する被保護者であったりする場合は、市町村民税の課税いかんにかかわらず、試聴民村税非課税世帯としての取り扱いになります。

これらの認定については、有効期限が決められています。期限を過ぎると自動更新されることはなく、給付の対象外となってしまいます。期間を延長されたい場合は、指定の期日までに更新の手続きをおこなってください。

無償化の対象とならない保育施設も

認可外保育施設やベビーシッターについては、無償化の対象となるのは、認可外保育施設の届出をしていて指導監督の基準を満たすものに限るので要注意です。認可外の届け出をしていない保育施設やベビーシッターについては、無償化のサービスを受けられません。認可を受けていない保育施設やベビーホテル、ベビーシッターや、個人でお子さんを預かるサービスをおこなっている施設や学習塾などを利用するにあたって無償化のサービスを受けたいと考えている場合は、認可外の届け出をしているかどうかを事前に確認するようにしましょう。

5年間のみ、認可外保育施設でも無償化の対象に!

ただし、2019年10月に、「幼児教育無償化」が全面的にスタートするに当たり、初めてのケースですので特別措置がとられます。というのも、現状では希望しているのに認可保育施設へ入れず、やむをえず基準を満たしていない認可外の施設を利用しているお子さんがたくさんいらっしゃいます。

そのため、この先5年間の経過措置として、指導監督の基準を満たしていない場合でも無償化の対象とする猶予期間が設けられることが、2019年2月の時点で閣議決定されました。つまり、2019年10月の無償化スタート時には、ベビーシッターをはじめとする認可外施設を利用しても、「幼児教育無償化」の対象になります。

無償化に伴って必要な手続きや書類などについて

「幼児教育無償化」を受けるためには、書類を作成して届け出をする必要があります。お子さんが対象年齢になったからといって自宅待機していても自動で「幼児教育無償化」のサービスを受けることはできません。サービスを適用するには、「子育てのための施設等利用給付認定」の手続きをおこなう必要があります。

市町村など、管轄の自治体を訪れてみてください。そこに届け出用のフォーマットが設置されています。申請の方法は場所によって異なりますので、詳細については、最寄りの自治体のホームページをご確認ください。例えば、大阪市の場合、認可外保育施設などの利用料の給付を受ける際の手続きは、受付期間中に居住区の保健福祉センターへ提出する必要があります。

施設の利用開始日によって申請の締め切りが異なりますので、詳しくは確認して進めるようにしてください。ホームページから自由にダウンロードできるようになっていると思います。また、既にすでに幼稚園などに通っていて、たくさんのお子さんが対象になる場合は、その街で、幼稚園側から手続きの資料が配られることもあります。

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【著者:ナチュラル・ハーモニー】

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