歯科衛生士として転職活動するときには、やりがいやキャリアを良いものにしたいと思うものです。しかし、どのような理由であっても歯科衛生士としての待遇はどうなっているかがきになるものです。そこで、勤務条件が記載されている求人情報をチェックするものですが、どのようなポイントをチェックしていいか分からない歯科衛生士さんは少なくありません。
この記事では、歯科衛生士が求人情報をみるときのポイントを解説します。
まずは大切なお給料について
求人情報をみるなかで一番に気になるのは、お給料に関するところです。見るポイントは割と絞られているため、下記に注意して読んでいきましょう。
給料のポイントは「基本給」
歯科衛生士として働くうえで最も重要なお給料は、基本給を見るようにしましょう。
基本給とは、文字通りに給料のベースとなる金額のことです。
・残業手当
・資格手当
・通勤手当
このような各種手当が含まれていない金額であり、ボーナスが支払われる場合にはこの基本給に何カ月かをかけたものとなります。見かけ上では高い給料に見えても、ボーナスを含めて考えたときに基本給の大きさで年収が大きく変わるので最も大切です。
極端ですが、下記の例で考えてみましょう。
Aさん
・基本給15万円+各種手当5万円
・ボーナス3ヶ月分=45万円
・年収=285万円
Bさん
・基本給20万円+各種手当0万円
・ボーナス3ヶ月分=60万円
・年収=300万円
月々にもらえるお給料は同じですが、ボーナスで差が出ることで年間で15万円も差が出てしまいます。15万円も多いと海外旅行に一度いけるくらいの金額になるので、大きなものです。
「このような極端な例はないだろう」と思うかもしれませんが、実際に求人業に出している金額は各種手当が多く基本給が低いところは少なくありません。まずはいくつかの求人票でこの部分だけでもチェックしてみましょう。
みなし残業(固定残業代)」が設定されていることも
残業すればそれだけ残業代が発生するものですが、残業代があらかじめ含まれて設定されている場合もあります。
例えば…
基本給:20万円
残業手当:5万円
と記載されている場合です。
残業代が固定であるために、どれだけ残業しても5万円以上は支払われないという設定になっています。もちろん、残業代が固定であるために残業時間が少なかった場合においてもこの金額が支払われることがあります。
みなし残業を設定する歯科医院では、この設定の方が人件費を抑えることができるために導入していることが多いものです。そのため、実際に歯科医院へ見学や面談するときには、働いている歯科衛生士がどれくらいの残業をしているかを確認しておきましょう。
歯科衛生士の求人では年俸制もあります
基本給や手当ての記載のない、年俸制という仕組みの歯科医院もあります。
これは給料の金額を一年間で決めるものです。スポーツ選手が「年俸1000万円」といって1年ごとにスポーツ団体と契約しているようなものと同じで、歯科医院が歯科衛生士に対して一年単位で支払う額を確定している場合になります。したがって、各種手当が実際のところ含まれているため、残業があってもその分は支給されないということがあります。
歯科衛生士のなかには、年俸で提示されてもお給料が良いか悪いかが判断できない人が少なくありません。
・年収300万
・年収350万
・年収400万
このような提示をされたときに、月々いくらの手取りになるかすぐにイメージできる方は少ないのではないでしょうか?後述する社保の状況によっても異なりますが、いくらであれば月々いくらの手取りになるかは必ず計算しておくようにしましょう。
お給料に幅があることも
・月給15~30万
・年収300万以上
このように幅を持たせた給料の記載方法をとっている歯科医院も少なくありません。これは、歯科衛生士のキャリア・スキルなどに応じて給料が変化することを指しています。具体的にいくらになるかは、院長と話す中で決められます。
記載されている幅はあくまでも目安として捉え、実際に見学や面接に行く中で確認するようにしましょう。
長く働くなら昇給も確認しよう
一年や二年で退職を考えているのであれば見る必要はありませんが、長い間働きたいと考えているならば昇給は見逃せません。
ほとんどの歯科医院では年に一回の昇給があり、昇給額が基本給に上乗せされる形となります。ボーナスの支給額にも影響してくるので、必ずチェックしましょう。
歯科衛生士の昇給額であれば、多くの歯科医院で2000~3000円程度であり、都心部であれば5000円程度のところもあります。歯科医院を含んだ周辺地域のお給料事情に左右されることがあるために、どのような理由で決定されるか考えて見ると良いでしょう。
また、大企業においては人事評価制度などによって昇給額はそれぞれに差があることが多いものです。しかし、歯科医院においてはそのような制度が定められていない所も多く、「歯科衛生士は一律に3000円」のように決められていたり、歯科医院の経営状況によって左右されることもあるというのが実情です。
もちろん、歯科衛生士としてのスキルや歯科医院への貢献度によって昇給額が大きくなることもあります。しかし、これについては院長がどのような理由で人事考課を行っているかが明確ではないため(少なくとも求人票からは分からないものです)、実際に見学や面接に行ったときに確認することが良いでしょう。
求人票においては「昇給あり(年一回)」や「昇給は経営状況に準じる」といった程度しか記載されていないことも多いので、まずは有無を確認するのが良いでしょう。
お給料以外にも確認すべき箇所
働くなかではお給料以外にも確認すべき箇所がいくつかあります。知らずに転職してしまうと、あとになって「そんなはずでは…」となってしまうこともあるので見落とさないようにしましょう。
休日の記載は実態と照らし合わせて
・完全週休二日制
・週休二日制
といった記載がされています。言葉としては似たようなものですが、まるで違う内容であるために気を付けましょう。
完全週休二日制では、一週間のうちに休みが必ず二日はあるというものです。歯科医院であれば「水曜日と日曜日は休み」といったように確実に休みがとれるようになっています。
一方、週休二日制では、週に二日休めるのは一カ月のうちに最低でも一週はあるというものです。つまり、1~3週目は週に休みが一回しかなく、4週目のみに休みが二回あるといった状況もあるということです(実際にそこまで休みが少ない歯科医院は滅多にありませんが)。
つまり、週休二日制をとっているところでは見学や面接において必ず実際の休みがどれほどの数になっているかを確認する必要があります。
また、年間休日や土日祝休みといった記載をとっているところや、時短勤務可能といった記載をしているところがあります。最近では歯科衛生士においても多様な働き方が出来るようになってきているため、見たことのない内容が記載されていることもあります。分からないところはそのままにせず、実際にどれくらいの休みの数なのかを確認するようにしましょう。
各種保険の状況の確認は必須
よく「社保完備」といった記載を目にしますが、これは社会保険である雇用保険・労災保険・厚生年金保険・健康保険の四つを歯科医院が加入してくれていることを指しています。
正社員として働く大きなメリットは、この社保に加入できることが挙げられます。場合によっては国民健康保険へ別途個人で加入する必要がありますので、それらの手続きや負担が生じるかを確認しておきましょう。
産休や育休の取得状況は実績と照らし合わせて
実際に取得しているのかを確認しましょう。
最近では産休や育休の取得がしやすい風潮になっていますが、制度として存在していても実際に取得できているかは別問題です。求人票に「産休・育休制度あり」と記載されているか、そこに実績(利用したことのある歯科衛生士はいるか)はあるかは記載されているかをチェックしましょう。記載がない場合には面接で確認しましょう。
有給制度ももちろん確認しましょう
付与のタイミング、消化率、持ち越しがポイントです。
歯科医院に入職して何か月後から発生するのか(多くが正社員登用後6カ月後より発生)、在籍している歯科衛生士は有給を使えているのか(これは有給消化率という方法で提示されています)、一年間で使いきれなかった有給は次年度に持ち越せることができるのか(多くは次年度までは可能、次々年度は不可能)といったポイントを確認しましょう。
特記事項も見逃さないように
特記事項や備考といった欄も確認しましょう。
ここでは、歯科衛生士としてどのようなスキルを求めているのか、歯科医院はどのような雰囲気であるのか、どのような性格や人柄が望ましいのか…といった内容が記載されています。求人票における唯一のフリースペースのようなものなので、欄は小さくても院長の考えが詰まっていることが多いです。見逃さないように注意しましょう。
おわりに
この記事では、歯科衛生士が求人情報をみるときのポイントを解説しました。
転職活動をはじめて行う歯科衛生士さんにとっては、どこを見れば良いのか、本当に自分が思っている待遇と一致しているのかなど読めば読むほど分からなくなってしまうものです。
歯科転職ナビでは多くの求人票を見比べた経験のある転職エージェントが多数在籍しています。分からないポイントは気軽に相談できるので、いつでも頼ってくださいね。また、求人票だけでは分からない情報も有していますので、実際に見学に行く前に確認するといった活用もしてみてくださいね。